バブル潰しの致命的な間違い

 ただし、多くの人がバブル期の対応で、致命的な間違いがあったことをご存じない。政策失敗でバブルの後遺症が大きくなったということを筆者は言いたい。

 そもそも、バブルは金融緩和が原因であって、バブル潰しのためには金融引き締めは正しかったといわれているが、はたしてそうだろうか。

 筆者は、当時大蔵省証券局でバブルを目のあたりにして、バブルの是正のために、証券規制を実施した担当官だった。筆者の現場感覚からいえば、バブルは、証券・土地規制の抜け穴によって、証券・土地のみで起こったことだ。その是正には証券・規制の適正化で十分だった。金融引き締めは余計なことだった。

 当時は、株や土地の価格は上がっていたが、普通の財サービスの一般物価は上がってなかった。

 当時、筆者が検査などで見た光景は、ほぼ違法ともいえる証券会社の営業であった。顧客に対して損失補填を約束しながら株式の購入を勧めていた。その株式の購入資金を顧客の自己資金でまかなうのではなく、銀行が融資するというパターンも横行していた。これは何も株式の購入に限らず、土地の購入でもよく見られた話だ。

 そこで、大蔵省内で検討した結果、1989年12月26日、大蔵省証券局通達「証券会社の営業姿勢の適正化及び証券事故の未然防止について」を出し、証券会社が損失補償する財テクを営業自粛、事実上禁止した。筆者はこの通達の起案者だ。その効果は抜群で、89年末の最高値をつけた後直ちに株価は急落した。

 株式規制だけを適正化するのでは資金が土地に流れるといけないので、90年3月には大蔵省銀行局長通達「土地関連融資の抑制について」を出し、不動産向け融資の伸び率を総貸出の伸び率以下に抑える措置をとった。これで、株式と土地のバブルは消えた。