コロナなどの社会情勢を即座に設定に盛り込み、複数の人間が入れ替わり立ち替わり電話口に出るなど、入念に練られたストーリーには危機感をあおり、疑念を打ち消すリアリティがあります。

 特殊詐欺の多くは「一本の電話」から始まります。老後の安心のためにコツコツ貯めてきたお金を守るために「電話」対策を講じておきましょう。

詐欺犯罪者が嫌う電話機に変更する

 かけてきた相手の番号が表示される「ナンバーディスプレイ」サービスに申し込むのは基本中の基本。非通知でかけてきた相手に対して、番号を表示してかけ直すようアナウンスが流れる「ナンバーリクエスト」も併用すると安心です。

 さらに、「詐欺等の犯罪被害防止のため会話内容が自動録音されます」とメッセージが流れ、こちらが受話器を上げると録音を開始する「自動通話録音機」を取り付けておきましょう。自動通話録音機は多くの自治体で無料で貸し出しているので、ぜひ問い合わせてください。

「050」「+」で始まる番号に気をつける

 ネット回線を使った「050」から始まる電話は「IP電話」とも呼ばれ、通話料金が抑えられることから広く利用されています。

 簡単に契約できる特性から特殊詐欺に使われることが多く、今後は契約時には本人確認が義務化されることとなっています(法人の場合は登記事項証明書など)。

 犯罪に使われた固定電話やIP電話に対して、警察は利用停止の措置を取ります。そのため日本の警察の権限が及ばない「国際電話」を利用する犯罪組織も出てきました。

 国際電話の場合、番号の頭に「+」がついて表示されます。不思議に思って電話に出たり、かけ直してもずっと無言。時には何やら外国語が聞こえることもあります。

 まったく意味不明な反応ですが、通話時間を引き延ばして被害者に高額な通話料金を負担させて利益を得る仕組みがあるのです。

 心当たりのない「+」で始まる番号から着信がたびたびあるようなら、「国際電話不取扱受付センター(0120-210364)」へ連絡して着信拒否の手続き(無料)をします。