ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
高橋洋一の俗論を撃つ!

黒田日銀に二つの当然、二つのサプライズ

高橋洋一 [嘉悦大学教授]
【第64回】 2013年4月9日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 黒田日銀の「量的・質的金融緩和」は強烈なデビューだった。この日銀砲の威力はすさまじく、株価は安値から500円以上高くなり、為替も瞬時に2円50銭以上円安にふれて結局5円程度も円安になり、債券は長期金利が前日比0.125%低い(価格は高い)0.425%と過去最低を更新した。世の中の雰囲気を「オセロゲーム」のように一気に変えた。

マネタリーベース2倍は当然

 黒田日銀の今回の決定について、筆者にとって二つの当然と二つのサプライズがあった。

 まず、当然の一番目は、黒田日銀のとった政策だ。黒田日銀は、インフレ2%を2年間で達成するために、マネタリーベースを2倍にするという。

 このマネタリーベース2倍に世間は驚いているが、日銀発表文では、マネタリーベースを138兆円→270兆円とするので、これを1年分でみれば70兆円程度の増加になる。

 筆者は1月23日付け本コラムで、「60~80兆円のマネタリーベースの増加が必要になる」と書いているが、ほぼ同じ数字だ。岩田規久男日銀副総裁とは、デフレ問題について十数年来同じ意見をもっており、デフレ脱却のためにはどのような金融政策が必要かをこれまでも議論してきた。その一つが量的緩和によってマネタリーベースを増加させることで、そのためには年間どのくらい増やせばいいのかを具体的に議論してきた。

 筆者の1月23日付け本コラムでは、過去のマネタリーベースとインフレ予想率との関係から算出しているが、名目成長率と金融緩和との関係を示す「マッカラム・ルール」からも一定の仮定をおけば算出でき、両者は似たり寄ったりの数字になる。数学の定理で別々の証明法を用いて示すように、専門家であれば、一つの結論を出すために、複数の事実や理論を使えるものだ。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

高橋洋一[嘉悦大学教授]

1955年、東京都に生まれる。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省入省。理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官などを歴任したあと、2006年から内閣参事官(官邸・総理補佐官補)。2008年退官。金融庁顧問。2009年政策工房を設立し会長。2010年嘉悦大学教授。主要著書に『財投改革の経済学』(東洋経済新報社)、『さらば財務省』(講談社)など。

 


高橋洋一の俗論を撃つ!

元財務官僚の経済学者・高橋洋一が、世にはびこるもっともらしい「俗論」の過ちをズバリ解説。

「高橋洋一の俗論を撃つ!」

⇒バックナンバー一覧