ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

アベノミクスの焦点は「第2幕」へ
~労働市場の流動化が焦点に~
――森田京平・バークレイズ証券チーフエコノミスト

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]
【第94回】 2013年4月10日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

強烈なサプライズとなった
「量的・質的金融緩和」(QQE)

 4月4日、日銀は市場に強烈なサプライズを与える追加緩和に打って出た。名づけて「量的・質的金融緩和」(Quantitative and Qualitative Monetary Easing、以下QQE)。金融政策の操作目標をこれまでの無担保コールレート(オーバーナイト物)という金利から、マネタリーベース(=日銀当座預金+銀行券発行高+貨幣流通高)という量的指標に移し、その残高を2012年末の138兆円から2013年末200兆円、2014年末270兆円という具合に急増させる(量的緩和)。

 さらに、買入対象国債の年限を40年債を含む全ゾーンに広げ、かつETFなどのリスク資産も買い増すこととした(質的緩和)。その結果、2014年末に向けて日銀のマネタリーベースは他国を圧倒する規模とスピードで増える見込みだ(図表1参照)。市場の事前予想を上回る緩和であり、足下にかけて円安・株高が急進している。

円安の特徴①:期待主導

 為替に影響する要因として、通貨の需給を考えてみよう。日本円の供給の増加は円安要因、減少は円高要因というのは専門的な知識がなくともイメージしやすいであろう。

 国際経済学においても「マネタリー・アプローチ」という考え方があるが、これは端的に言えば「為替レートは各種通貨建て資産の需給を均衡させるように決まる」という考え方だ。

 実体経済で需要される通貨の集計量として現金・預貯金などマネーストック(かつてマネーサプライと呼ばれた)が考えられるが、より中央銀行の立場に近い集計量として上述したマネタリーベースが挙げられる。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

⇒バックナンバー一覧