新幹線「はやぶさ」は、震災のわずか6日前にデビュー。最高時速300キロ超で東京・新青森間を3時間でかけ抜けます。首都圏と東北の各都市がスピーディにつながると期待され、乗車予約が殺到していました。

 しかし、震災で「はやぶさ」は止まっていました。
「はやぶさ」と言えば、ロングノーズタイプの個性的なフォルムが特徴的です。
これを模したデザインの容器に入ったミネラルウォーターを販売して、“復興の旗印”にしようと思ったのです。

 しかし、会社は震災前から「はやぶさウォーター」に消極的でした。
 ペットボトルの型をつくるのに60万円程度かかりますから、売れなければ大損です。
 上司は「売上が低迷している時期にリスクを冒す必要はない」と言いました。
 それでも私は、「はやぶさ」を“復興の象徴”と信じ、

「いまやらなくてどうするんですか。日本の元気がなくなっちゃいますよ」

 と会社を説得し続けました。

1本370円の「はやぶさウォーター」が2万本完売!

 2011年5月3日、「はやぶさウォーター」が発売されました。
 価格は370円(税込)。誰もが「えっ?」と耳を疑いました。だって普通のミネラルウォーターは100円程度ですから、3倍以上の価格だからです。
 でも、「はやぶさウォーター」は初日から予想以上に売れ続け、10ヵ月で2万本を完売しました。

「370円もする水がよく売れたね」と言われます。

 たしかに、「はやぶさウォーター」は375ミリリットル入りで370円。ミネラルウォーター500ミリリットルの平均的な値段は100円前後ですから、これだけ見るとかなり高く感じます。

 でも、「はやぶさウォーター」は、ただの水ではありません。
 新幹線ファンにとっては記念品であり、子どもたちにとってはおもちゃです。
 実際、飲み終わったあとに遊んでいる子がたくさんいました。
 そこに「はやぶさウォーター」がヒットした秘密があります。

 こうして東日本大震災のあった2011年は一時4割減収になりましたが、終わってみると、「はやぶさウォーター」の大ヒットなどで前年並みの売上をあげることができました。
 結局、私は所長就任後の4年間で売上を1億1000万円伸ばしたことになります。

 この業績は大宮営業所の社員、パート、アルバイトが一丸となって上げた数字です。
 大宮営業所は社員9人に対し、パート・アルバイトが110人という構成です。
 つまり、成功の秘訣は、パート・アルバイトの即戦力化にあるのですが、それについては次回お話しいたします。

次回は4月22日更新予定です。


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三浦由紀江(みうら・ゆきえ)
JR東日本グループの株式会社日本レストランエンタプライズ(NRE、旧・日本食堂)弁当営業部上野営業支店前大宮営業所長。現・上野営業支店セールスアドバイザー。97年、44歳時にJR上野駅の駅弁販売を開始。当時の時給は800円。52歳で正社員となり、53歳時に異例の抜擢で大宮営業所長となる。就任1年目で駅弁売上を5000万円アップさせ、年商10億円超を達成。以降、所長就任4年で売上を1億1000万円アップさせる。大宮駅限定のカリスマ駅弁を20種産み出すかたわら、9人の社員と110名のパート・アルバイトを束ね、6店舗を切り盛りするカリスマ営業所長として活躍。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」、TBS「応援!日本経済 がっちりマンデー!!」でも紹介された。