冬になると、日本海側や東北、北海道などの降雪地域で、よく見られる道路の除雪作業。もしかすると、将来、こうした除雪作業がままならなくなるかもしれない――。

 首都圏地域の人々には、意外に知られてはいないが、降雪地域での除雪作業は、地元の建設業者やゼネコンが中心に行っている。各自治体では、道路をいくつかの区域に分けて、入札する制度などで除雪業者を集めている。

 ところが昨今、入札に応じない除雪業者が増えている。  

 たとえば、青森県弘前市では、自前で20台ほどの除雪車を所有しているが、これでは冬場のピークの除雪作業を乗り切れない。そのため地元の建設業者に対し、市内104の区域を指名競争入札で除雪する制度を採用している。

 しかし、弘前市では、出動回数に応じた出来高払いのため、雪の少ない市街地などの作業が嫌われる。2008年度は市内104区域のうち、17区で応札がゼロだった。応札する業者自体も減少しており、ピークだった2006年度の146社に対し、2009年度には102社にまで減少した。

 北海道札幌市でも、1999年の250社をピークに、現在は195社にまで減っている。こうした応札や除雪業者の減少傾向は、新潟や富山、長野などの各自治体にも見られる。

 そもそも除雪作業は低い収益性の事業だった。「除雪車の維持費や人手の確保を考えると、採算に合わない」うえ、建設不況で「除雪を続ける企業体力がない」ことが、応札や除雪業者の減少傾向に拍車をかけている。
 
 とはいえ、まだまだある程度の除雪作業が見込まれる“雪国”での作業はマシな方かもしれない。

 「コスト的に見て、中途半端に降ったり、日によって極端に降ったりと変動が激しいのが、最も対応がやっかい」(群馬県の建設業者)だからだ。

  群馬県建設業協会は、11月上旬、会員企業を対象にした「除雪体制に関するアンケート結果」を公表、「夏場の公共事業が削減するなか、今後3年間で除雪体制は崩壊する懸念がある」(青柳剛会長)と“緊急事態”宣言をした。