iPodからiPhoneまで、アップル復活の舞台裏を知る「唯一の日本人経営者」が、アップル退社後に初めて語る「これからの世界」での働き方。世界では「英語的な発想」でコミュニケーションを取る必要がある。それは英語が話せるか以上に重要だ。世界で戦うための話し方の基本とは?
英語の文法で話せ。「動詞」が結論を導く
これからのグローバル時代を生き抜くには、世界標準の武器である英語を身につけているのは当たり前だと思ってください。日本で生まれ、日本で育ったので英語はできませんというのは、もう言い訳にならない時代に突入しています。好きとか嫌いとか、良いとか悪いとかいう問題ではなく、英語が国際的な標準語として君臨する現実を受け入れて、その舞台で戦う心構えが必要です。
英語の重要性は強く言われていることですが、これからの世界で戦う人にとっては、あらゆるビジネススキルの大前提となるものですので、英語に自信がない人は、今すぐ優先順位の第一位に英語の習得を位置づけるようにしてください。
英語の習得法については他の本を読んでもらうとして、ここでは世界で戦う上でもっとも重要な「英語的な発想」について紹介しようと思います。それなりに英語が話せる人でも、この発想を持っていないと、外国人とスムーズにやり取りしていく上で必ず障害が生まれます。
日本語は非常に美しい言語ですが、日本という風土において効果を発揮する婉曲表現が多く、世界のビジネスシーンでは時に誤解を生じてしまいます。単に日本語を英語に変換して使うだけでは、多くの場合、齟齬が生まれてしまうのです。
そもそも日本語でも何を言っているのかわからない会話を、そのまま英語に翻訳すれば、ますますわからなくなるのは当たり前でしょう。そうならないために、表現の手法を英語の文法に当てはめて考える習慣を持つようにしましょう。
英語的な発想をするには、まず英語の構文「SVO」(主語+述語+目的語)を意識する訓練が必要です。メッセージの結論を導くのは述語である「動詞」です。日本語は名詞中心の言語ですが、英語は「動詞」を用いて、どんなアクションをするのか、何を相手に期待するのかを表現します。
動詞を意識すれば、必然的に何をするのか、何がしたいのか、何をしてほしいのかを明確にしながら話さざるを得なくなります。また、日本語では「主語」を省略して話すことが一般的ですが、英語では主語が必ず必要です。主語を「I」で話すことを意識すれば、一般論としてとか、会社の方針でとか、世間では、という言い回しがいかに曖昧なことを言っているのかがわかってきます。