今年のマスターズ・トーナメントはオーストラリア人のアダム・スコットがアンヘル・カブレラ(アルゼンチン)とのプレーオフの末、初優勝したが、スポーツ紙が勝負よりも詳しく報じたのは、スコットが日本のアパレルブランド「ユニクロ」とスポンサー契約を結び、そのウェアを着てプレーをしたことだ。

 トップアスリートが着るウェアは特別の機能が施されており価格も高い。たとえば野球のユニフォーム。最近では選手が着ているものと同じウェアがプロコレクションなどという名称で一般にも売り出されているが、上着だけでも3~4万円する。草野球などで使うユニフォームは上下で1万円程度だから、5~6倍も高いことになる。

 ゴルフの場合、激しい動きをすることはなく、トッププレーヤーも一般人と変わらないウェアを着ることになるが、有名ブランドのものはやはり高く、シャツだけでも数万円はする。マスターズに出場するほどの選手が着ているウェアは上下一式で10~20万コースだろう。

マスターズ優勝のスコット
着用ウェアは全身で総額7960円也

 しかし、スコットが着ていたのは廉価で知られるユニクロの店舗で売られているものだという。ドライカラーポロシャツは1990円、その下に来たインナーは990円、ドライノータックパンツは2990円、ベルトは1990円。合計7960円のウェアを着てプレーをし、マスターズの優勝賞金144万ドル(約1億4000万円)を獲得した。その対比が面白く、スポーツ紙をはじめとするメディアがこぞって取り上げたわけだ。

 ユニクロを運営するファーストリテイリング会長兼社長の柳井正氏をはじめユニクロの社員は、スコットが優勝を決めた瞬間、ガッツポーズをしたことだろう。スコットがユニクロとスポンサー契約を交わしたのは今年4月1日。そのウェアを着てプレーする初戦が世界4大メジャー大会に数えられるマスターズで、いきなり優勝という快挙を成し遂げてしまったわけだ。契約金額は非公開だが、おそらく億がいくつか並ぶ数字だろう。ちなみにスコットがユニクロとともにスポンサー契約を結んでいるのは3社。ゴルフボールなど用品を扱うタイトリスト、メルセデスベンツ、ロレックスで、この並びから見ても、それなりの高額を支払っているはずだ。