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サッカー日本代表の「決定力不足」
原因は幼少から染みついた「形」への依存?

――強豪国と日本との間にある 決定的な違い

相沢光一 [スポーツライター]
【第20回】 2008年7月1日
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 その点、ここぞという時にしっかり得点する強豪は違う。攻撃の組み立てはセオリーに従うが、フィニッシュは形など度外視。相手の守りをこじ開け、ゴールを決める。「プレーの目的は点を取ること」という原理原則が体に染みついているのである。

 ラグビーでは、その差を埋めるのが大変だ。ボールを手で扱えるゲームは攻撃側に大きなアドバンテージがあり、選手個々の力量がもろに出るからだ。が、手が使えないサッカーはその差が出にくい。気持ちの持ち方次第で、克服できるはずなのだ。「形はどうあれ点を取る」という気持ちを持てばいいのである。

日本代表の貴重な存在
松井と闘莉王に期待

 私見だが、今の日本代表にもそんなプレーをしている選手はいる。

 まず、松井大輔。松井はファンタジスタと呼ばれるほどボール扱いが巧い選手だが、その一方でゴールまで一直線に突き進む泥臭いプレーもよく見せる。相手DFが守りを固めているところでいきなり突破を試み、見る者を驚かせることも。ボールを奪われることも多いのだが、攻撃的ポジションを任されている選手はそれでいいのである。サッカーはロースコアのゲーム。ミスを重ねても1試合に1回か2回、アタックが成功すればいいのだから。相手DFだっていつ突破してくるか分らない選手は対応しにくいだろうし、思わぬ動きが守りの破綻につながることも考えられる。とにかく松井は「形はどうあれ点を取る」というプレーをしているのだ。

 松井はジーコジャパンにもオシムジャパンにも代表候補として招集されたが、チームにフィットしないという理由で外された。現日本代表では出場を続けているが、完全に機能しているとはいえない。だが、松井がフィットするようになれば、松井の意外性のある仕掛けにFWが対応できれば、中村俊輔や、鹿児島実業の先輩で松井の個性を知っている遠藤がピンポイントのパスを送ることができれば、決定的シーンは多くなるのではないか。

 そして、闘莉王。DFにもかかわらず、ゴールチャンスがあると見ればどんどん前線に上がっていく。見ている方は「守りは大丈夫か?」と不安になることもあるが、「とにかく点を取る」という姿勢を持っていることは貴重であり、チームには必要な選手だ。

 だが、そのような気持ちを持ってプレーしている選手はまだ少数派。それが、相変わらずの決定力不足につながっている気がしてならない。最終予選の第1戦(アウェーのバーレーン戦)が始まるのは9月6日。その時までに代表選手全員が、「形にこだわらず点を取る」という意識を持ってプレーするチームになっていなければ、厳しい戦いを勝ち残れることはできないだろう。

 

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相沢光一 [スポーツライター]

1956年埼玉県生まれ。野球、サッカーはもとより、マスコミに取り上げられる機会が少ないスポーツも地道に取材。そのためオリンピックイヤーは忙しくなる。著書にはアメリカンフットボールのチーム作りを描いた『勝利者』などがある。高校スポーツの競技別・県別ランキングをデータベース化したホームページも運営。 「高校スポーツウルトラランキング」


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