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企業業績の本格悪化後に訪れる「ニッポン大再編時代」

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第55回】 2008年11月25日
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 “100年に一度の金融危機”とそれに続く景気後退は、今年夏場まで、わが国にとって“対岸の火事”と思っていた人が多かっただろう。

 ところが、9月15日のリーマン・ブラザーズ破綻をきっかけに、世界的な金融市場の混乱が加速し、実体経済の後退も一段と鮮明化した。そんな状況下、最近、わが国企業の収益状況が急速に悪化している。

 特に、米国を中心とする世界経済の後退によって、大手輸出企業の収益状況の悪化が顕著だ。その典型例が、2009年3月期の利益を1兆6000億円から6000億円へと大幅下方修正したトヨタ自動車である。

 これまでの景気回復を牽引してきた輸出企業の急激な減益が、これから、わが国経済全体にマイナスの影響を及ぼすことは避けられない。「景気が本格的に悪化するのはむしろこれからが本番」と、覚悟を決めた方がよさそうだ。

 元々、消費などの国内の需要項目を見る限り、日本経済全体を押し上げるエネルギーは見当たらない。しかも、長期的には“少子高齢化”の加速が進み、需要の拡大が期待できないなか、企業は何とか生き残りの道を模索することになる。

 だが、それは口で言うほど容易なことではなく、現実は厳しい。企業を取り巻く環境を見ると、環境に適合したビジネスモデルを作らない限り、生き残りへの道は怪しくなっている。多くの企業経営者は、それをよく理解しており、まさに「待ったなし」の状況まで追い込まれているのだ。

 では、なにか打開策はないのだろうか。その1つに、「経営統合による産業再編」がある。複数の企業が統合することによって、経営規模を拡大し、世界企業として生き残るという戦略は、相応の説得力を持つ。

 また国内企業にとっては、経営統合によって、単なるリストラを上回る経費削減を実現することは、有効な選択肢となる。

 今回の企業収益の大幅な悪化は、産業再編の動きを加速するきっかけになる可能性が高い。バブル崩壊後の我が国がそうであったように、再び「ニッポン大再編時代」が到来することは避けられないだろう。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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