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勝ちっ放しのガンホー、勢いを失ったグリー…
主役交代で不透明さを増す業界の未来は?
――ソーシャルゲーム・バブル崩壊後の展望【中編】

小山友介 [芝浦工業大学システム理工学部教授],石島照代 [ジャーナリスト]
【第38回】 2013年6月12日
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 いわゆるソーシャルゲーム関連企業の最新決算報告を見ると、ガンホーとディー・エヌ・エーをのぞいて、主要専業メーカーは軒並み営業利益を減らしている。社会的受容はおろか、社会的認知も十分に進まず、また唯一のよりどころであった営業利益を低下させているのであれば、ソーシャルゲーム関連企業の今後は一体どうなるのだろうか。ソーシャルゲーム市場が抱えてきた問題の経緯を扱った前編に続き、中編では、ソーシャルゲーム関連企業の現在の状況分析も含め、業界の今後の行方を占う。

日本市場での
ソーシャルゲームバブルは終わった

 「パズル&ドラゴンズ」の大ヒットで2013年12月期第1四半期の営業利益が186億円・前年同期比7383.9%増と、一人勝ちのガンホーエンターテイメントに対する羨望と怨嗟の声が業界内で渦巻いている。その一方で従来の主役であった2強、ディー・エヌ・エーとグリーはどうなっているのだろうか。

 下のグラフは、直近1年のディー・エヌ・エーとグリーの、ソーシャルゲーム関連部門売上高と営業利益の推移である。ディー・エヌ・エーの直近の決算は昨年同期比で約10%の売上増となっているが、海外市場の好調が大きく貢献している。海外のモバコイン(*1)の売上が前年同期比の7倍である7000万ドルにまで達したためだ。

 逆に、グリーは直近の決算では昨年同期比で約8%の売上減となった。グリーも海外売上が四半期ベースで2000万米ドルほど上昇する一方で、国内市場が10%以上の売上減となっていることは注目すべきだろう。

 2012年5月にあったコンプガチャ騒動の時期を境にしたグリーの失速と、ディー・エヌ・エーの海外市場での好調ぶりを加味して考えると、日本国内でのソーシャルゲームバブルは終わったと考えていいだろう。今後は海外市場でどれだけ売上を伸ばせるかが勝負となるが、現段階ではディー・エヌ・エーがかなり先行している。

 加えて、グリーは中国で設立した「グリー Beijing」が6月で解散することが決定しており、海外事業の立て直しを迫られていることも痛手となっている。これについて、中国市場に詳しい関係者は、グリーの中国撤退について次のように説明する。

(*1)「モバゲー」のゲームアイテム向け仮想通貨。1モバコイン=1円。アバター等を買う「モバゴールド」とは異なるため、モバコインの売り上げ額でゲームコンテンツの売り上げを把握することが可能。

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小山友介 [芝浦工業大学システム理工学部教授]

1973年生まれ。芝浦工業大学システム理工学部教授。2002年京都大学大学院博士課程修了。博士(経済学)。東京工業大学助教等を経て現職。東工大時代に経済シミュレーション研究に従事、そこで学んだコンピュータサイエンスの知識を生かしてゲーム産業研究を行なう。専門はゲーム産業を中心としたコンテンツ産業論と社会情報学。2016年6月末に『日本デジタルゲーム産業史』 (人文書院)を刊行。

 

石島照代 [ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

 


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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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