いわゆるソーシャルゲーム関連企業の最新決算報告を見ると、ガンホーとディー・エヌ・エーをのぞいて、主要専業メーカーは軒並み営業利益を減らしている。社会的受容はおろか、社会的認知も十分に進まず、また唯一のよりどころであった営業利益を低下させているのであれば、ソーシャルゲーム関連企業の今後は一体どうなるのだろうか。ソーシャルゲーム市場が抱えてきた問題の経緯を扱った前編に続き、中編では、ソーシャルゲーム関連企業の現在の状況分析も含め、業界の今後の行方を占う。

日本市場での
ソーシャルゲームバブルは終わった

「パズル&ドラゴンズ」の大ヒットで2013年12月期第1四半期の営業利益が186億円・前年同期比7383.9%増と、一人勝ちのガンホーエンターテイメントに対する羨望と怨嗟の声が業界内で渦巻いている。その一方で従来の主役であった2強、ディー・エヌ・エーとグリーはどうなっているのだろうか。

 下のグラフは、直近1年のディー・エヌ・エーとグリーの、ソーシャルゲーム関連部門売上高と営業利益の推移である。ディー・エヌ・エーの直近の決算は昨年同期比で約10%の売上増となっているが、海外市場の好調が大きく貢献している。海外のモバコイン(*1)の売上が前年同期比の7倍である7000万ドルにまで達したためだ。

 逆に、グリーは直近の決算では昨年同期比で約8%の売上減となった。グリーも海外売上が四半期ベースで2000万米ドルほど上昇する一方で、国内市場が10%以上の売上減となっていることは注目すべきだろう。

 2012年5月にあったコンプガチャ騒動の時期を境にしたグリーの失速と、ディー・エヌ・エーの海外市場での好調ぶりを加味して考えると、日本国内でのソーシャルゲームバブルは終わったと考えていいだろう。今後は海外市場でどれだけ売上を伸ばせるかが勝負となるが、現段階ではディー・エヌ・エーがかなり先行している。

 加えて、グリーは中国で設立した「グリー Beijing」が6月で解散することが決定しており、海外事業の立て直しを迫られていることも痛手となっている。これについて、中国市場に詳しい関係者は、グリーの中国撤退について次のように説明する。

(*1)「モバゲー」のゲームアイテム向け仮想通貨。1モバコイン=1円。アバター等を買う「モバゴールド」とは異なるため、モバコインの売り上げ額でゲームコンテンツの売り上げを把握することが可能。