2012年末までのわずか3カ月で株価が4倍を超えたゲーム開発会社がある。それがガンホー・オンライン・エンターテイメント。スマートフォン向けゲーム「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」が大ヒット、市場の評価を得たのだ。
パズドラは、画面下に積まれたカラフルな球をパズルのように並べて消すことでモンスターを倒していくゲームだ。12年2月の登場からわずか約10カ月で500万ダウンロードを突破、ずば抜けた人気を誇っている。
人気の秘密は、一般的なソーシャルゲームの常識を破ったことだ。カードを集めてタッチするだけの操作で単純に優劣を競うカードバトルゲームが一般的な中で、高いゲーム性を実現した。
また、もうけの考え方も大きく違う。通常はゲーム攻略に有利なアイテムを有料にして、仲間とアイテム交換できる仕組みを導入、競争をあおることで運営会社はもうけている。こうしたアイテムがリアルの世界でも“売買”できる換金市場まで存在し、未成年の高額課金の要因となるなど、ゲームの健全性が問われていた。
それをパズドラの場合、有料アイテムを頻繁に無料で配っている他、交換も禁止している。つまり、健全性の問題をクリアしながら成功を収めているのだ。これは、ガンホーがPCオンラインゲームの老舗運営会社として10年前から似た問題に取り組んできた成果だ。
同社の森下一喜社長は「課金をし過ぎれば利用者は疲弊する。パズドラは10年、20年と続くブランドにしていきたい」と話す。批判が高まるソーシャルゲーム業界へ、反旗を翻したのが勝因といえる。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 小島健志)