ディー・エヌ・エーやグリーが牽引する、いわゆるソーシャルゲームについて扱った一連の記事「ソーシャルゲームの何が問題か」(前編・中編・後編)を発表してから1年が過ぎた。その間、消費者庁がコンプガチャの規制を発表、関係各社の株価が下落するなどの騒動も発生したが、筆者ら(石島、小山)はあの3本ですべての問題を扱えたとは考えていない。
当時書いたとおり、未成年を含めた消費者の過消費は問題であり、その認識はいまでも変わっていない。だが、それはユーザーサイドの問題であって、業界サイドの問題は別に存在している。そこで今回は、「ソーシャルゲーム・バブル崩壊後の展望」と題し、ゲームコンテンツ業界の過去を振り返りながら、ソーシャルゲームバブルがはじけた今後について考える。
未成年のSNS接触を規制した
携帯フィルタリング原則化騒動を振り返る
昨年のコンプガチャ騒動を考える時に、決まって思い出すことがある。それは、2007年の未成年者向け携帯フィルタリングサービス原則化にまつわる騒動である。
2007年12月総務省は、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイル、ウィルコムの4社の社長を招いて行った懇談会で、増田寛也総務相(福田康夫内閣当時)がフィルタリングサービスに未成年者が原則加入するよう要請を行った。この背景には、総務省は2年前から携帯会社に同様の要請を続けていたものの、フィルタリングソフトの契約数が延びない半面、携帯サイトに絡んだ未成年者の事件が一向に減らない現状に業を煮やしたことがある。
総務相直々の要請という大事にまで至ったのは、同年11月に青森県のホテルで発生した女子高生殺人放火事件の影響が大きい。被害者の女子高生は、SNS(ソーシャルネットワークサービス)を通じて犯人と知り合っていたことから、SNSサービスを危険視する世論が高まったのだ。
そこで、NTTドコモとauは公式サイト以外の閲覧ができない「ホワイトリスト」方式を、ソフトバンクは禁止カテゴリーに該当するサイトを閲覧制限する「ブラックリスト方式」を採用することにより、総務省の要請に応えることになった。