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過熱する3Dプリンター革命への期待と
ブームに水を差す冷やかな意見の中身

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第251回】 2013年6月26日
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 先週、あるニュースが3Dプリンター業界とホビイストたち両方を驚かせた。ストラタシスが、メイカーボットを4億300万ドルで買収するというのだ。

 ストラタシスと言えば、3Dプリンティング技術のパイオニアとも言われ、創設は1989年。同社のテクノロジーは、主に業務用として大企業に利用されてきた。一方のメイカーボットは、創設2009年。ニューヨークのブリックリンを拠点とし、個人にも手に入る3Dプリンターの製造を目指してきた。同社はモノ作りの好きな、いわゆるメイカー・コミュニティーの熱い支持を受け、昨今の3Dプリンティング・ブームの火付け役とも言える存在だ。

 対極的とも言えるこの2社が合体するとは、いったいどういうことなのか。3Dプリンティング・ブームもかなり本格化している証拠なのか、と人々は沸いたのである。

3Dプリンターは日本でも人気が高まっている。写真は3Dシステムズの国内向け普及モデル Photo by DOL

 3Dプリンター業界を観察しているコンサルティング会社、ホーラーズ・アソシエートによると、3Dプリンティングに関連した製品とサービスの売上は、2012年に世界中で22億ドルに達し、これは前年度から28.6%の伸びを見せたものという。売上は2019年には65億ドルにも達する見込みだ。

 ストラタシスの競合である3Dシステムズも、過去数年にわたって3Dプリンティング関連の新興企業数社を買収している。安価な3Dプリンター製造のビッツ・フロム・バイツ、ソフトウェア開発のZコーポレーション、ジオマジック・ソリューションズなどがそうだ。もはや業務用とホビイストとのツールは、分け隔てなく開発、製造、販売するような時代になったとも思わせる、両社の動向だ。

 確かに3Dプリンティング技術の汎用性については、ますます説得力のある実例が登場している。たとえば、航空機のエンジン部品が3Dプリンターで製造されたとか、義足が3Dプリンターでカスタム製造できるといった話題が聞かれる。それどころか、銃を3Dプリンティングで製造する企業が出現して米国では大きな問題になり、すでに営業停止命令が出されている。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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