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野口悠紀雄「日銀が引き金を引く日本崩壊」

日本の法人税の負担は重くない

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第10回】 2013年6月27日
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 6月14日に政府が閣議決定した日本再興戦略の中で、今年の秋に投資減税を検討する旨が表明された。法人税減税を求める声も大きい。

 この前提にあるのは、「日本の法人税負担は重い」という認識だ。以下では、これが正しいか否かを検証する。

「実効税率」指標の問題点

 「日本の法人課税の負担が諸外国に比べて重い」と言われる根拠として、通常用いられるのは、「法人の実効税率」という指標だ。

 これは、法人税等(日本の場合は、国税としての法人税と、地方税である住民税及び事業税の合計)の法人所得に対する比率である(地方税負担の一部が国税で損金算入されることを調整してある)。

 2011年当時、「日本の実効税率は40.7%(国税27.89%、地方税12.80%)であり、アジア諸国はもとより、ヨーロッパ諸国より高い」と言われた。

 こうした認識に基づいて、2011年に法人税率の引き下げが行なわれた(2012年4月1日以後に開始する事業年度について、法人税率を30%から25.5%へ引き下げた。中小法人に対する軽減税率は、18%から15%へ引き下げた:図表1参照)。

 その結果、日本の実効税率はかなり低下した。財務省の資料によると、図表2に示すとおり、13年1月における日本の実効税率は、東京都の場合、35.64%だ(国税が23.71%、地方税が11.93%)。これは、アジアやドイツ、イギリスなどと比べれば高いものの、米国(40.75%)よりはかなり低く、フランス(33.33%)と同じくらいである。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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