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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

高島屋、ヤマダ電機……
中国進出失敗の原因は本当に「反日」か

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第162回】 2013年7月4日
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上海の新興高級住宅地

 上海市長寧区の古北新区はおそらく改革・開放時代を迎えてからできた上海最初の高級住宅地と言えるだろうと思う。

 古北新区は市西部の虹橋路沿いに位置し、羽田空港と複数の直行便で結ばれる虹橋空港に近い。ハイレベルな住宅をメインに、商業や貿易の機能をも兼ね備えている。1980年代末から1990年初期にかけて建設設計を業務とする日本設計事務所といまや合併で名前の変ったゼネコンの青木建設が建設した太平洋飯店や世界貿易センター、さらに在上海日本総領事館なども、その古北新区のすぐそばにある。

 建設された多くのマンションやビルのなかには、ヨーロッパの建築士の設計によるものも少なくない。変化に富んだ外観、モニュメント・噴水・花壇・緑地・照明などで飾られた屋内庭園などはヨーロッパの風格を漂わせ、優雅でロマンティックなムードに満ちている。閑静で優美な新しい高級住宅地として、1995年には「90年代上海ベストテン新景観」の一つに選ばれている。

 古北新区に住んでいると上海の人に言えば、青山、白金台、広尾に住んでいる、と聞かされた東京人のように相手は目を見張る。

 古北新区は、多くの日本人や台湾人が住んでいるので日本人村または台湾人村とも呼ばれている。小区内を歩いていると、前や後ろを行く人々が日本語や英語、ドイツ語などを話しているのが聞こえる。南方訛りの共通語をしゃべっている台湾人にもよく出会う。国際的な雰囲気が色濃く漂っており、海外からきた人々は親近感を覚える。

 付近には日本料理屋やイタリアンレストランも多く、クリーニング店の看板にも日本語が書かれている。台湾人が好む「小吃(中華風スナック)」をメニューにしているレストランも多い。小区の中心に英語を常用語とするインターナショナル・スクールも建っている。入口の横にあるカルフールは、220店舗前後ある同社の中国店舗の中で売り上げが一位という地位を誇っている。

 古北新区が持っているリッチかつ開放的な雰囲気は、それを求めている海外から来た多くの人を虜にした。私もそのなかの一人だ。古北にある優雅な喫茶店でウィンナーコーヒーを啜りながら、ここに自分の家もほしいものだと思った。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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