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なぜ脳は「なんとなく」で買ってしまうのか?
【第1回】 2013年7月29日
著者・コラム紹介バックナンバー
田邊学司

第1回
人生の一大事は「なんとなく」で決まる
脳科学で挑む、95%の無意識

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各企業は、他社を追い越し、追い抜くために、マーケティングリサーチに勤しんでいる。にもかかわらず、店頭には似たような商品ばかりが並び、消費者は違いがあることすら気づいていないこともあるだろう。
いま、脳科学とマーケティングが融合した「ニューロマーケティング」が注目を浴びている。アンケートやグループ・インタビューからは読み取れない、言葉にできない消費者の“ホンネ”とは。「なんとなく」の正体に脳科学で迫る。

人生の一大事は「なんとなく」で決まっている

 「あなた、なぜ私と結婚したの?」
 「うーん、なんとなく」
 「なんですって?」
 「いや、まあ、なんというか、なんとなく好きになっちゃったんだな」
 「ひどい。あなたって、『なんとなく』で結婚を決めちゃう人なわけ?」
 「いや、そういうことじゃなくてさ、う~ん、料理がうまいし、当時は色白でぽっちゃりでかわいかったし」
 「…」

 今から20年近く前、私が独身生活を謳歌していた頃、とあるコピーライターの大先輩に、深夜残業の合間にこんな質問をしたことがある。

 「先輩は、どうして結婚したんですか?」

 その時、ずっと年の離れたその大先輩は、ぼそっとこう答えた。

 「田邊、結婚なんてのはだな、石につまずいて『おっとっと』と思ったらしてしまっている、そんなもんだよ」

 今や大会社の社長になられたその大先輩の言葉が、ここでいう「なんとなく」の本質をついている。極めて重要な決断こそ、本人が意識しないうちにすでになされている。その後に、いくらもっともらしい理屈をつけようと、それは“屁理屈”でしかない。

思考の95%は無意識下での自動処理

 ハーバード大学ビジネススクールの名誉教授、ジェラルドザルトマン博士によると、人間の思考(Thinking)の95%は無自覚に起こっているという。

 今、あなたが手に触れているマウスの感触、座っている椅子の右尻に感じている圧力や、かすかに聞こえている部屋のエアコンの音など、こうしている間にも、あなたの脳はたくさんの情報を取捨選択しながら最適な判断(お尻を掻いたり足を組み直したり)を下しているが、そのほとんどは意識に上がってくる前に自動的に処理されている。

 ところが、そこであえて「なぜ?」を問われると、この自動システムとは別の理性のしくみが動きだす。

 直感と理性、この2つが常に100%整合しているのなら、マーケティングはシンプルだ。しかし人間は必ずしも、無自覚の時の直感的判断と、自覚している時の論理的判断とが整合するとは限らないらしい。

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田邊学司(たなべ・がくじ)

株式会社GFL代表取締役CEO。
東京外国語大学卒業、カナダ・ウェスタンオンタリオ大学MBA(経営学修士)修得。株式会社博報堂にて、20年間、マーケティングおよびブランディングに従事。主に新商品開発、イノベーション開発、ビジョン・コンセプト構築等を中心に、ブランド強化のための数多くのプロジェクトを手がける。2009年、ニューヨークのニューロマーケティングコンサルタンシー「バイオロジー社」の社外取締役に就任し、国内及びグローバルでの非言語ブランドプロジェクトを推進。2013年5月、独自のゲーム型直感リサーチシステム「ファンケート」を開発・販売する株式会社GFL(Gut Feeling Laboratory Inc.)を創設し、現職。
共著書に、『ブランドらしさのつくり方』(ダイヤモンド社)がある。

 


なぜ脳は「なんとなく」で買ってしまうのか?

コカ・コーラ、資生堂、ホンダ、ユニチャーム、竹中工務店…国内外のトップブランドが、言葉にできない消費者の“ホンネ"に迫ろうと、日夜、研究・実用化に勤しんでいる。いま最も注目を浴びる最新マーケティングの正体とは何か?『なぜ脳は「なんとなく」で買ってしまうのか?』の刊行を記念して、書籍では紹介しきれなかった話も盛り込みながら、ニューロマーケティングの魅力が語られる。

「なぜ脳は「なんとなく」で買ってしまうのか?」

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