業界紙、専門誌を訪ねて回るこの連載。第二回は超辛口が売り物の「家電批評」の編集部にお邪魔した。
「家電批評」といえば、広告をほぼ掲載しないかわりに、家電製品を遠慮なく批評することで知られている。その姿勢が読者の支持を得て、後発ながらモノ系の雑誌のなかでも異彩を放つ存在となっている。
強烈な批判精神が漂う誌面から、編集長はさぞや、強面な人なのでは…と予想していたが、沢井竜太編集長は拍子抜けするほど物腰が柔らかかった。
「家電批評」を出版する晋遊舎の創業は1995年。パソコン系の雑誌や、話題となったムック『マンガ 嫌韓流』を発行した出版社だ。「家電批評」は2009年に同社のモノやサービスを批評する雑誌「MONOQLO(モノクロ)」から、不定期のムック本として分離する形で創刊された。現在は月刊の雑誌となっている。
沢井編集長は1975年生まれ。早稲田大学法学部を卒業後、いくつかの出版社を経て、2009年に晋遊舎に入社。2011年から「家電批評」の編集長を務めている。
広告主におもねらず
製品の善し悪しをジャッジ
沢井編集長によると、「家電批評」の方針は「広告主におもねることなく、製品の善し悪しをジャッジする」ことにある。
出版業界にはモノやサービスを批評する雑誌は山のようにある。表紙には「辛口」などというタイトルが踊るが、実際に読んでみるとがっかりすることも多い。
筆者は家電やカメラが好きで、その種の情報をよく目にするが、多くの雑誌の情報は生温く、価格コムなど個人が批評するインターネットのサイトの情報のほうがよほど役立つと感じることが多い。
しかし、「家電批評」は違う。表紙に「やらせ一切ナシ!!他誌では読めない本気の製品レビュー」と謳っているが、本当にその通りなのである。スマートフォンからデジタルカメラ、エアコン、扇風機、洗濯機などあらゆる家電のチェックポイントが点数化され、あるいは「買ってよし!」などと評価されている。