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紙の神々 業界紙・専門誌探訪記

自由を求めて来日した貧乏留学生が始めた新聞
震災後に帰化し名字を「福島」に
夢は中国での創刊

週刊ダイヤモンド編集部 清水量介
【第1回】 2013年7月12日
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社員は31人。新聞は社員と外部のライターの8人で制作している
Photo by Ryosuke Shimizu

 業界紙・専門誌を訪ね歩くこの連載。連載第一回目に登場いただくのは、中国語新聞の「東方新報」や「東方時報」を発行する東方インターナショナル。同社の福島大毅社長は中国出身だ。

 福島さんの来日は1988年、32歳の時だ。当時の名前は「何毅雲(カ・イオン)」で、2011年に日本に帰化して現在の名前になった。

 日本に来た理由は「自由な空気が欲しかった」からだ。両親は共産党の幹部で、自身は上海の造幣局に勤務していた。「正直言って、造幣局は簡単に就職ができるところではありません。そのまま職についていれば、将来は安泰でした」。

 しかし、88年といえば、天安門事件の前年で、若い中国人の間には不満が高まっていた。運良く、当時の日本では中曽根康弘総理大臣が留学生の増加政策を打ち出していた。福島さんは自由を求めて日本にやってきた。

日本では自由に新聞が
創刊できることに驚き

 日本語学校に入学した福島さんを驚かせたのは、日本の新聞事情だった。世には新聞が溢れているし、中国人向けの留学生新聞なども自由に発行されていた。中国では新聞をはじめとした各種のメディアを新設することは規制され、事実上不可能だというから、その差はあまりに大きかった。中国でのメディア環境は現在でも同じだ。

 民主主義や報道の自由といった自由な空気を求めて来日しただけに、日本の新聞事情は福島さんの心を揺さぶった。

 「いつか自分で新聞を発行したい」と強く思ったという。

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インターネットでの無料の情報の氾濫や、ソーシャルネットワークの流行。それらの影響を受けて、新聞や雑誌が苦境に立ってから久しい。しかし、メディア業界を見渡せば、業界紙、専門誌はまだまだ数えきれないほど存在し、新規創刊もある。その内容は充実していて、インターネットの無料情報では代替できないものが多い。業界紙や専門誌は一つの分野のことを掘り下げる。中にはとても狭い業界、分野を信じられないほど深堀する媒体もある。なぜ、その業界や分野にそれほどまでに魅せられるのか。どのような取材、編集をしているのか。扱う業界や分野の現状とは…。無からコンテンツを創造する“紙の神々”の生態に迫る。

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