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育休3年は“専業主婦”を増やすだけ?
安倍政権の「女性活用」政策に“欠けた視点”とは
――イー・ウーマン 佐々木かをりさんに聞く

ダイヤモンド・オンライン編集部
2013年7月26日
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自民党の圧勝で幕を閉じた2013参院選。少なくとも向こう3年間は安定政権が続くこととなり、いよいよ安倍政権が掲げる政策の真価が問われる。そうしたなかで、注目すべき政策の1つが、安倍首相が4月の「成長戦略」に関するスピーチでも触れた「女性・子育て政策」だろう。「育休3年」「5年で待機児童ゼロ」「子育て後の再就職・起業支援」「全上場企業で役員に1人は女性を登用」…を掲げた安倍首相に対し、様々な反論・批判が寄せられたが、今後、女性の活躍を成長戦略の中核に位置づけるためには、どのような視点が必要か。内閣規制改革会議の委員を務め、自身も2児の母親であるイー・ウーマンの佐々木かをり社長は、安倍首相の「育休3年」の政策には重要な「女性活用」の視点が欠けていると指摘する。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)

日本の男性が“紳士的”ゆえ
女性は仕事・家庭の両立が可能に

――安倍首相は、男女ともに子どもが3歳になるまで子育てに専念できるよう企業に「育休3年」の導入を促すという提言をし、これに対する批判が広がりました。佐々木さんは、この政策をどのように見ていますか?

ささき・かをり
イー・ウーマン代表取締役社長。ユニカルインターナショナル代表取締役。国際女性ビジネス会議実行委員会委員長。 1983年上智大学外国語学部比較文化学科卒業。フリー通訳者として活躍後、87年ユニカルインターナショナル設立。同年より『ニュースステーション』リポーター。96年より毎夏「国際女性ビジネス会議」開催。2000年イー・ウーマン設立。多くの政府審議会の委員を務める。2児の母。著書は『自分を予約する手帳術』(ダイヤモンド社)など多数。

 第一印象は、「良くないな」でしょうか。もちろん選択肢が増えることはいいことです。休みたい人が休めたり、男性も育休を取れるようになるのは有難いと思います。しかし、この政策を打ち出すことが、今世間で言われる「日本の女性の活躍」に対して、プラスになるかといえば疑問です。特に私が長年のテーマにしている多様性、ダイバーシティの視点で見れば、この政策が日本企業・産業の成長に役立つとはあまり思えません。

 たまたま安倍首相がその政策を打ちだした時期、海外のリーダーの方とお会いする機会がありました。すると、彼女たちの口から出たのは(育休3年に対して)「ありえない」「信じがたい」という言葉。私も同感です。

 5月にOECD(経済協力開発機構)のパリ本部で開催されたフォーラムにて発言する機会を得た私は、「日本には“紳士”が多すぎて、皆、女性に優しい政策をすすめてくれます。おかげで日本女性は、仕事を続けながら、育児も介護もさせていただくことになりました。男性の3倍、働くことになっているのです。このようなやさしさはこれ以上必要ありません。そろそろ男性の働き方、生活のしかたを変える番です」と発言しました。つまり、日本政府や企業の女性想いな“紳士的”な態度のおかげで、雇用機会均等法施行後、女性が仕事も家庭を両方できるようにするための政策がたくさん実現し、女性の負担は余計に増えてしまったのです。その一方で変わらなかったのが、男性の働き方や経営層の価値観、そして人事制度でしょう。

 若い女性にとって今は、働きやすい世の中になったかもしれません。しかし、組織全体や長期的に見ると、あまり昔と変わっておらず、働く男性と女性の線路は、今も全く違うように思います。

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