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世界初をつくり続ける東大教授の「自分の壁」を越える授業
【第2回】 2013年7月30日
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生田幸士 [東京大学 先端科学技術研究センター、情報理工学研究科システム情報学専攻教授]

これからのキーワードは「競争しない」!?
まだ見ぬオーシャンをさがせ!
東大教授が教える、一生不毛な努力をせずにすむ考え方

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 あなたには1円玉がどんな形に見えますか?医用ロボットで世界をリードし続ける教授が教える、「人と違う思考と発想」をするためのはじめのステップとは!ビジネスにも人生にも効く、ムダに終わらない頭の使い方のヒントが凝縮の連載第二回!

ささいな違いにしのぎを削っても誰にも見向きされない!

 講演会に招待されたり、メディアの方から取材を受けたりすると、次のような質問をぶつけられることがあります。

「なぜ日本からグーグルやフェイスブックのような企業が生まれないのでしょうか?」
「モノづくりが元気をなくした理由は、どこにあると思われますか?」
「日本の製造業が復活する道はあるのでしょうか?」

 たしかに不思議な話です。日本の技術力はいまだ世界トップクラスの実力を誇っていますし、世界のどこに行っても「メイド・イン・ジャパン」への信頼は揺るぎないものがあります。にもかかわらず、モノが売れない。業績が伸びない。雇用が守れない。おかげで優秀な日本人技術者たちが海外のライバル企業に流出していく。近年では研究者レベルでさえ、海外への流出が深刻化しているほどです。

 わたしは工学の人間ですから、経済のむずかしい話はわかりません。ただし、工学の世界に身を置いてきたからこそ、わかることもあります。

 たとえば新しく発売されたA社のテレビには、こんなボタンが追加されている。B社のテレビを買うと、これだけ鮮明な映像になる。C社のテレビだと、大迫力のサラウンドスピーカーが搭載されている。

 ここにどれだけの差があり、「よしっ、これを買おう!」と思わせるだけの魅力があるのでしょうか?消費者にとって、その差はかなり見極めづらく、どのテレビを選ぼうとほとんど変わらないのが実情です。これは近年のビジネス界で「コモディティ化」と呼ばれる現象で、いまの日本、そして先進諸国は、超成熟社会に突入していて、家電からクルマまであらゆるモノが飽和状態を迎えています。テレビにしても冷蔵庫にしても、「そこそこの値段で、そこそこの機能がついたモノ」を持っていれば、ほとんど不自由しない。いまさらメーカーが「ほら、新しいでしょう?」と新機能をプラスしたところで、大半の人からは喜ばれないわけです。

一生「不毛な争い」をせずにすむ人の考え方

 じつはこれ、われわれ研究者が直面している悩みとまったく同じなんですね。

 既存の研究分野には、山のような先行事例があって、世界中に優秀な人材(ライバル)がひしめき合っている。そこで新しいことをやろうとすると、どうしても専門家以外には理解のできないような枝葉末節の改善・改良になり、世の中に与えるインパクトは小さくなる。けれども、なにかしらの成果を出していかないと研究者としての立場も危うくなり、研究費も出なくなる。
 ……考えれば考えるほど、日本のメーカーが陥っている状況と同じです。

 さて、幸いにしてわたしはこうした悩みと無縁のまま、研究生活を送っています。
天才的な研究者だったから?
まさか!
 そうだとしたら嬉しいけど、残念ながら違います。わたしは天才でもなんでもありません。

それでは、なぜなのでしょうか?自分ごとながら、私なりに次のように考えています。

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生田幸士 [東京大学 先端科学技術研究センター、情報理工学研究科システム情報学専攻教授]

 

1953年大阪生まれ。大阪府立住吉高等学校卒。大阪大学にて金属材料工学科と生物工学科を卒業後、修士課程を経て、東京工業大学大学院制御工学専攻博士課程修了。工学博士、カリフォルニア大学研究員、東京大学専任講師、九州工業大学助教授、名古屋大学教授を経て2010年4月より東京大学教授。 医用マイクロマシン、医用ロボットの世界的先駆者。2010年紫綬褒章受章。文部科学大臣賞(研究功績者)、米国ラボラトリオートメーション学会功績賞、市村学術賞、グッドデザイン賞、ロボット学会論文賞など、受賞30件以上。IEEE主催マイクロマシン国際会議(MEMS’94)大会長。 新原理・新概念にこだわり、世界初の研究を次々につくり出している。また、助教授時代から『バカゼミ』『卵落とし大会』『カレーの日』など様々なイベントを開催し、凝り固まった日本の若者の頭をとことん柔らかくし、独創性を伸ばす創造性教育にも尽力。高校などへの出前授業も多数。NHK『爆笑問題のニッポンの教養』『ようこそ先輩』『ETV特集』、TBS『夢の扉』などテレビ出演も多々あり。趣味はウォルト・ディズニーの研究。

 


世界初をつくり続ける東大教授の「自分の壁」を越える授業

なぜ、多くの人は「そこそこ」で終わってしまい、「その他大勢」に埋もれてしまうのでしょうか? 実は、今いるところから突き抜け、自分だけの結果を出すには<考え方のコツ>があったのです。では、人とは違う結果を出してきた人は何をしてきたのでしょうか? その答えとなる思考の技術を、「世界初」の研究をつくり出し続け、東大生をバカにする授業=「バカゼミ」を手がける東大名物教授の著者が初めて語る!

「世界初をつくり続ける東大教授の「自分の壁」を越える授業」

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