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自分の小さな「鳥カゴ」から飛び立ちなさい
【第6回】 2013年8月13日
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河合江理子 [京都大学国際高等教育院教授]

第6回
なぜ「学ばない自由」を求めて大学に入るのか?
ハーバード大生が日本で抱いた素朴な疑問

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日本の公立高校を卒業すると、単身で渡米して、ハーバード大学に入学。その後、INSEAD(欧州経営大学院)、マッキンゼー、BIS(国際決済銀行)、OECD(経済協力開発機構)と渡り歩き、現在、京都大学で、若者たちにその経験を伝えている。日本・アメリカ・ヨーロッパ、本物の世界を知る日本人が明かす、国境すら越えて生きるための武器と心得とは。

なぜ、日本の大学生は勉強しないのか?

 今年の7月上旬、夏休みを利用して、ハーバード大学の学生が東京の語学学校にインターンシップにやって来ました。せっかくの機会だと考え、京都大学の私の授業で、大学生活についてプレゼンテーションをしたり、学生と一対一で話をしてもらったことがあります。

 彼女は中国系アメリカ人で、英文学を専攻していますが、政治にも興味があり、将来はロースクールに進学して弁護士の資格を取得したいと考えていると言っていました。勉強の傍らフィールドホッケーの選手としても活躍する、とても明るい学生です。

河合江理子(かわい・えりこ)
[京都大学国際高等教育院教授]
東京都生まれ。東京教育大学附属高等学校(現筑波大学附属高等学校)を卒業後、アメリカのハーバード大学で学位、フランスの欧州経営大学院(INSEAD)でMBA(経営学修士)を取得。その後、マッキンゼーのパリオフィスで経営コンサルタント、イギリス・ロンドンの投資銀行S.G.Warburg(ウォーバーグ銀行)でファンド・マネジャー、フランスの証券リサーチ会社でエコノミストとして勤務したのち、ポーランドでは山一證券の合弁会社で民営化事業に携わる。
1998年より国際公務員としてスイスのBIS(国際決済銀行)、フランスのOECD(経済協力開発機構)で職員年金基金の運用を担当。OECD在籍時にはIMF(国際通貨基金)のテクニカルアドバイザーとして、フィジー共和国やソロモン諸島の中央銀行の外貨準備運用に対して助言を与えた。その後、スイスで起業し、2012年4月より現職。

 彼女は、京都大学でとてもいい経験をしたと話してくれましたが、同時に、1つ気になることを言っていました。それは、「日本の大学生はどうして平気で授業を休んだり、遅れてくるんですか?」ということです。もちろん、時間通りに積極的に授業に参加してくれる学生も多いですが、彼女の指摘が間違えているとは言えません。

 とくに、アメリカの大学生にとって、大学での勉強はとても大切です。

 GPAという言葉を聞いたことはありませんか?「Grade Point Average」、つまり成績の平均値のことを表し、Aが「4」、Bが「3」、Cが「2」、そしてDが「1」と計算されます。当然、GPAの最高は4になります。

 私のときとほとんど変わらず、いまも希望の就職先を得るためには、3.5程度のGPAが必要とされています。また、私が大学生のころには履歴書にGPAを記入する欄はありませんでしたが、いまでは履歴書にGPAを記入することが当たり前になっているそうです。

 一般的に、アメリカの一流と言われる大学の学生は本当によく勉強します。その理由の1つには、いい成績(高いGPA)をとることが就職や大学院入学を左右することもあるでしょう。また、なかには、借金をしながら高額の授業料を支払い、教育という自己投資をしている人もいます。そのため、日本のように、夜遅くまで飲食店でアルバイトしていたため、朝の授業をサボる人はほとんどいませんでした。

ラモント・ライブラリーに集う学生たち
出典:https://blogs.law.harvard.edu
/collegeadmissionsstudentblog/page/3/

 学生の意識はもちろん重要ですが、大学や教員側でも彼らが学びやすい環境をつくっていることも挙げられます。例えば、ハーバード大学のキャンパスにある「ラモント・ライブラリー」は24時間営業です。試験期間になると、深夜まで勉強している学生のために、学部長が、突然ピザを持って現れることもあります。

 実は、韓国の留学生からも、「日本の大学は勉強する雰囲気になっていないのでは」という指摘を受けたことあります。たしかに、日本の大学の周りには居酒屋や遊興施設がたくさんありますが、韓国には語学学校などがあり、大学の周囲の環境も勉強に打ち込めるようになっているとのことです。

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河合江理子(かわい・えりこ) [京都大学国際高等教育院教授]

東京都生まれ。東京教育大学附属高等学校(現筑波大学附属高等学校)を卒業後、アメリカのハーバード大学で学位、フランスの欧州経営大学院(INSEAD)でMBA(経営学修士)を取得。その 後、マッキンゼーのパリオフィスで経営コンサルタント、イギリス・ロンドンの投資銀行S.G. Warburg(ウォーバーグ銀行)でファンド・マネジャー、フランスの証券リサーチ会社でエコノミストとして勤務したのち、ポーランドでは山一證券の合 弁会社で民営化事業に携わる。1998年より国際公務員としてスイスのBIS(国際決済銀行)、フランスのOECD(経済協力開発機構)で職員年金基金の運用を担当。OECD在籍時に はIMF(国際通貨基金)のテクニカルアドバイザーとして、フィジー共和国やソロモン諸島の中央銀行の外貨準備運用に対して助言を与えた。その後、スイス で起業し、2012年4月より現職。著書に『自分の小さな「鳥カゴ」から飛び立ちなさい』(ダイヤモンド社)がある。


自分の小さな「鳥カゴ」から飛び立ちなさい

ハーバード大学、INSEAD(欧州経営大学院)、マッキンゼー、BIS(国際決済銀行)、OECD(経済協力開発機構)…そして、京都大学教授。『自分の小さな「鳥カゴ」から飛び立ちなさい』の刊行を記念して、書籍では語り尽くせなかったエピソードを中心に、日本・アメリカ・ヨーロッパの本物の世界を知る日本人が、国境を越えて生きるための武器と心得を語る。

「自分の小さな「鳥カゴ」から飛び立ちなさい」

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