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野口悠紀雄「日銀が引き金を引く日本崩壊」

実質成長を支えてきたのは、
物価下落による実質消費増

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第17回】 2013年8月22日
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 2013年4-6月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は、0.6%(年率2.6%)となった。前期からの増加額は3.3兆円だが、そのほとんどは、民間最終消費支出の増によるものであった(2.4兆円)。

 したがって、民間最終消費がなぜ増加しているのか、その原因を解明することが、今後の成長にとってきわめて重要である。

 報道では、これはアベノミクスによって株価が上昇し、その結果、高額消費が増加したためであると説明されている。この解釈が正しければ、株価上昇によって高額所得者の所得が増えることは、所得分配の観点からは問題があるにせよ、経済成長の観点からは正当化されることになる。

 しかし、この解釈には、大きな疑問がある。

 家計調査を見ると、一部の高額消費が増加しているのは事実だ。しかし、消費全体に占めるウエイトはきわめて低いので、これが消費全体を引き上げたとは考えられない。また、商業動態統計調査を見ても、6月を除けば、百貨店売上が顕著に増えているわけではない。

 実質消費が増加しているのは、一般に報道されているのとはまったく異なる理由によると考えられる。

 以下では、実質消費増がいかなる要因で生じているかを分析しよう。

GDP需要項目中最も顕著な増加は、実質消費支出

 まず最初に注意すべきは、消費支出の増加は、最近になって生じた現象ではないことだ。

 2007年から11年の間に、実質GDPは減少したが、実質消費支出は増加している。

 より詳しく見ると、図表1のとおりだ。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄「日銀が引き金を引く日本崩壊」

日本銀行が新しい金融政策を決定した。今後2年間でマネタリーベースを2倍に増加させ、消費者物価指数上昇率を2%にするとしている。これを受けて、「円安が進行して輸出が増大する。輸出関連企業の利益が増大し、株価が上がる。日本経済は長く続いた停滞から脱却しようとしている」と考えている人が多い。果たして、この期待は、実現されるだろうか?

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