赤字国債Photo:PIXTA

消費税減税や給付金、社会保険料引き下げなどの公約が各党から打ち出されている。だが、それらがもたらす財政負担の裏付けの根拠が危ういものも少なくない。巨額の国債残高を抱える日本が今後も“財政破綻しない国”でいられるのか――その前提と変化の兆しを検証する。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

財政破綻したギリシャを上回る
政府債務残高の対GDP比率

 消費税減税、給付金、社会保険料引き下げ。参議院選挙の各党の公約には、財政負担を伴うメニューがずらりと並ぶ。

 その財源を明示している政党もあれば、そうでない政党もある。赤字国債を財源としている政党もある。

 財源を示している政党の中には税収の上振れ分を充てるとしているところもあるが、上振れるかどうかは未確定の部分がある上に、上振れても政策実現に必要な額を確保できない公算もある。そうなれば結局は赤字国債に頼らなければならなくなるケースもでてくるだろう。

 1975年に赤字国債の発行を再開して以来、91年度から93年度を除き赤字国債を発行し続けた結果、国債の発行残高は2025年3月末で1054兆円に及ぶ。

 名目GDP(国内総生産)に対する政府債務残高の比率は24年末で236%。コロナ禍対策で財政支出が膨らんだ20年度の258.4%からは低下したものの、OECD(経済協力開発機構)加盟国では最悪の水準で、欧州債務危機で財政が破綻したギリシャのピークの水準である202.9%をも上回っている。

 政府の債務が積み上がっていく中で、幾度となく財政破綻への懸念が繰り返され、金利が急上昇する事態が起きるのではと警鐘が鳴らされてきた。しかし、これまでにそういった事態は起きていない。

 次ページでは、これまで財政破綻に至ることがなかった背景を振り返りつつ、選挙の結果次第でさらなる財政膨張圧力、財政赤字拡大の見通しが強まる中、今後も財政破綻は起きないのかどうかを検証する。