もし盗撮してしまったら……
反省と賠償を尽くすこと

 最後に、もし、つい出来心で盗撮行為をしてしまった場合についても、とるべき行動と心構えをお伝えしよう。

 まず、何よりも大切なのは、事件を反省し、被害者の方に謝罪と賠償を尽くすことである。但し、盗撮をした本人が被害者に直接連絡をすると、かえって被害者感情を逆なでしたり、脅迫と受け取られかねないので注意が必要だ。

 条例違反の盗撮事件の場合は、容疑を素直に認め、身元が安定していれば、本件が執行猶予中の犯行であるなどの特別の事情がない限り、比較的容易に釈放が認められる傾向にある。

 もっとも、他人の住居やその敷地内に侵入して覗き見を行った場合などは、関係当局から「犯行態様が悪質である」と判断され、勾留が決定されるケースが多い。このようなケースでは、「身元が安定していること」「証拠隠滅や逃亡のおそれがないこと」などの有利な事情を関係当局に十分に訴えていく必要がある。

 なお、盗撮で逮捕された方の中には、余罪があったり、常習性が認められる方が多いのが実情である。そういう方は、撮影した盗撮画像をPCなどに保存しているケースが多い。盗撮の容疑をかけられた場合に、自分で撮りためた盗撮画像を自分で消去することは、証拠隠滅罪(刑法104条)にはあたらない。同条は「他人の刑事事件に関する証拠を隠滅」すること等を禁じているからである。

 しかし、もし家宅捜索に入られ、データを復元されるなどした場合は、余罪の追及に加え、関係当局の心証を著しく損ねることになる点に留意されたい。

 いかがだろうか? 盗撮の冤罪は、誰もが巻き込まれる可能性がある。もし盗撮トラブルに巻き込まれたら、第一に、現場で冷静な対応をとり身の潔白を晴らすよう努力すること、第二に弁護士に連絡をすることが大切だ。

 弁護士事務所は敷居が高いと思う方もいるかもしれないが、最初の対応が今後の人生に大きく影響する。盗撮トラブルだけでなく、冤罪を晴らすために当局と闘う場合、弁護士は力強い味方となる。盗撮を疑われないよう気を付けることも大切だが、万が一に備えて弁護士の連絡先をメモしておいたり、それを家族と共有しておいたりすることも、有効な対策となるだろう。


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<執筆者プロフィール>

岡野武志/おかの・たけし

1977年大阪生まれ。実弟が無実の容疑で逮捕されたことをきっかけに、弁護士となることを決意し、高卒ながら独学で合格率1.8%の旧司法試験に合格。司法修習中から刑事専門事務所の独立開業を目指して研鑽を積み、2008年9月2日司法修習を修了後、翌3日にアトム法律事務所を単身創業した。刑事事件専門の法律事務所を、若さを活かした機動力で、創業5年にして全国6事務所(本社、東京支部、横浜支部、名古屋支部、大阪支部、福岡支部)、弁護士10名、事務員20名のローファームに成長させた。

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