ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
柏木理佳 とてつもない中国

金融危機の痛手が少なかった中国
人民元の力は今後ますます増していく

柏木理佳 [生活経済ジャーナリスト]
【第20回】 2008年10月28日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 日中韓などアジアと、欧州各国を合わせた45ヵ国・機関の首脳が出席したアジア欧州会議(ASEM)が北京で開かれた。ASEM全体の経済規模は世界の約半分を占めており、米国主導に反感を示す開催地である中国にとっては大きな存在感を残すことができたのではないか。

 さらに中国は、来月ワシントンで開かれる緊急首脳会合(金融サミット)に中国も参加するべきだという各国の意向に応え、正式に出席することにもなった。

国有銀行の民営化をにらみ
金融の健全化が進んだ

 欧米の経済が低迷する中、経済大国となった中国の存在は大きい。そもそも米国発の金融危機で世界中が打撃を受けている中、中国の痛手は少ない。金融面の打撃は欧米に比較して限定的である。四大商業銀行においては、各銀行、それぞれ全体の資産の数%しか影響を受けていない。

 中国の国有銀行の民営化は、すべての企業の民営化の見本となるため重視されている。中国企業の多くは未だ国有企業である。市場経済の開放が世界から注目されている中、今後は民営化が必須である。その代表が国有銀行である。

 民営化には効率の悪い体制を根本から見直すことが大事である。株式会社化され上場している銀行においては世界の投資家からより多くの資金を集めたいところである。そのためには外国人投資家が判断する不良債権比率の減少、自己資本比率を上げることが必要だ。日本でも27日の日経平均株価が過去最低の7568円36銭となったことを受け、三菱UFJフィナンシャル・グループなどが1兆円の資本増強に乗り出したばかりである。

 中国の四大国有銀行は、これまでそれらの対策をうってきたが、今度は深セン発展銀行、華夏銀行、上海浦東発展銀行、中国民生銀行の中堅の4行においても次の民営化に備えた動きがある。08年6月中間期の業績は伸びているが、自己資本比率は低下しているため、自己資本をあげる対策を掲げている。そこで、銀行資産の悪化を避けるため自己資本比率の最低ラインを現行の8%から、来年には12%引き上げる目的を掲げている。

 このように中国は金融面では、欧米諸国よりも早い対策を講じているといえる。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

柏木理佳 [生活経済ジャーナリスト]

豪州の大学へ進学後、香港にて勤務。1994年、中国の北京首都師範大学漢語科に留学後、シンガポールで会社設立等に携わる。豪州ボンド大学院MBA取得。中国経済の研究員としてシンクタンク勤務後、嘉悦大学准教授。国土交通省道路協会有識者会議メンバーも務める。現在、嘉悦大学付属産業文化観光総合研究所客員主任研究員、北東アジア総合研究所客員研究員、NPO法人キャリアカウンセラー協会理事。2015年、桜美林大学院にて博士号取得。柏木理佳ホームページ


柏木理佳 とてつもない中国

驚異的な成長の中で、社会や経済の歪みを孕む膨張大国・中国。中国経済の専門家が、日本人には驚きの中国の知られざる現状をレポートする。

「柏木理佳 とてつもない中国」

⇒バックナンバー一覧