「信じている」のひとことで
相手はあなたの思うままに動く

 信じること、そして信じることを「伝える」ことで、初めて人は動きます。ただ心の中で信じているだけではダメ。ちゃんと相手に「伝える技術」も必要です。

 「この人は私を信じてくれている」この思いが心の中に芽生えたとき、人は「その信頼に応えたい」「信頼してくれた人に報いたい」という気持ちになります。

 こうした人間の行動原理は、心理学的にも証明されており、アメリカの教育心理学者であるロバート・ローゼンタールが提唱した「ピグマリオン効果」に該当すると考えられます。「ピグマリオン効果」とは、期待と成果の関係性が生み出す効果のことです。簡単に言えば、「人は期待されると、その期待に応えるような行動をとりやすくなる」ということです。

 ローゼンタールは学校での実験によって、この効果を実証しました。教師や生徒に対して期待をかけ、期待に基づいたアプローチをすることが、生徒の学習意欲ややる気に大きく影響することを証明したのです。

 もちろん、これは教育現場だけにとどまらず、子育て、そしてもちろんビジネスの現場でも有効です。部下を育てて動かすときも、取引先と協力してプロジェクトを進めるときも、まずは信じること。そして「信じている」とはっきり伝えることです。

 そうすることで、相手はあなたの期待に応えようとしてくれます。つまり、あなたの希望する通りに動いてくれるようになるのです。

 逆に、もし相手があなたを騙そうとしている場合、あなたが「信じてる」と口に出して伝えることで、バツが悪そうになったり落ち着かなくなるなど、罪悪感から普段とは違った様子になることもあります。「信じてる」と言うことは、相手の「不誠実さ」を見極めるキラーフレーズにもなりえるのです。