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田中均の「世界を見る眼」

シリア問題から透けて見える「世界の構造変化」
米国の抑止力が低下するなか日本が目指すべき外交

田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]
【第24回】 2013年9月18日
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オバマ米大統領が抱えたジレンマ
人道的介入と予算をめぐる議会対策

 後世の人々は、今日のシリア問題が世界の構造変化の1つの大きな節目であったと見るのではなかろうか。

 シリア問題はチュニジアに始まる「アラブの春」の一端であるが、結果的に民主化が達成される見通しが明るいわけではない。エジプトも似通った面があるが、軍事独裁体制を打破する行動が民主化を求めるよりも、結局は宗教色が強い闘争となり、多くの命が失われる。

 圧政を極めるアサド政権を崩壊させるべきであるとしても、アサド政権に対抗する勢力を支援することが民主化につながるとは限らない。シリア情勢が内戦という様相を濃くした8月21日、化学兵器が使用される。米国の推計によれば、子どもも含め1400人を超す犠牲者が出たという。

 国際法で禁止された大量破壊兵器の使用は、人道に対する罪である。このことにより、シリア問題は国際社会が具体的かつ迅速に行動せざるを得ない局面に至ったが、シリア問題を巡る各国の行動は世界の構造変化を如実に示すこととなる。そしてこれが、日本や東アジアを含め今後の世界に与える影響は極めて大きい。

 核兵器廃絶を唱えるオバマ大統領にとり、大量破壊兵器により多くの市民が殺生されることは断固許されるべきことではないという意識は強いのだろう。昨年の8月、後から考えれば不用意とも思われたが、「化学兵器の使用はレッドラインを超える」と発言する。もしレッドラインを超えれば、軍事力を行使するという意味である。

 オバマ大統領はこの1年前の発言に従い、軍事力の行使を決断する。米国が行動しなければ、大量破壊兵器の使用を野放しにすることになるのではないか。しかし、オバマ大統領はブッシュ前大統領のイラク戦争に反対し、イラク、アフガンからの撤兵を主張して大統領になったわけで、ブッシュ前大統領と同じ過ちをするわけにいかない。

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田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]

1947年生まれ。京都府出身。京都大学法学部卒業。株式会社日本総合研究所国際戦略研究所理事長、公益財団法人日本国際交流センターシニアフェロー、東京大学公共政策大学院客員教授。1969年外務省入省。北米局北米第一課首席事務官、北米局北米第二課長、アジア局北東アジア課長、北米局審議官、経済局長、アジア大洋州局長、外務審議官(政策担当)などを歴任。小泉政権では2002年に首相訪朝を実現させる。外交・安全保障、政治、経済に広く精通し、政策通の論客として知られる。

 


田中均の「世界を見る眼」

西側先進国の衰退や新興国の台頭など、従来とは異なるフェーズに入った世界情勢。とりわけ中国が発言力を増すアジアにおいて、日本は新たな外交・安全保障の枠組み作りを迫られている。自民党政権で、長らく北米やアジア・太平洋地域との外交に携わり、「外務省きっての政策通」として知られた田中 均・日本総研国際戦略研究所理事長が、来るべき国際社会のあり方と日本が進むべき道について提言する。

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