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大津波の惨事「大川小学校」~揺らぐ“真実”~

大川小遺族・市教委の話し合いが10ヵ月ぶりに開催
これまでの説明会から変化した点、変わらない点とは

加藤順子 [フォトジャーナリスト、気象予報士]
【第26回】 2013年9月19日
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遺族側の再三の要請により、10ヵ月ぶりに説明会が再開した
Photo by Yoriko Kato

東日本大震災の大津波で、児童74人と教職員10人が死亡・行方不明となった宮城県石巻市立大川小学校の問題で8日、市教育委員会が主催する遺族との話し合いが市内で行われた。これは、本来8月開催の予定だったが、地震発生により延期となり、この日開かれたもの。集まった30人ほどの遺族からは、昨年10月28日の前回から約10ヵ月ぶりの開催となった理由や、遺族への心のケアが滞っていることへの質問などが相次いだ。話し合いは、約4時間半にわたった。

市教委が主張する
「話し合いは続けてきた」の中身とは

家族は、過去の説明会での不審点をスクリーンに映し出し、指導主事の宍戸健悦副参事(スクリーン前の男性)に説明を求めた
Photo by YK

 市教委はこの10ヵ月以上の間、遺族側の再三の開催要求にもかかわらず、保護者向けの説明会を拒んできた。

 「なかなかこの場を開いてくれなかった」(遺族)理由を問われた宍戸健悦副参事は、「全体のこのような(話し合いの)場では、教育委員会が検証をお願いしている状況のなかで、事故を議論をするのは、検証委員会と別のスタンスになる」と説明した。

 だが、両者の協議はそもそも、市議会での検証委設置の予算を通した際の付帯決議に、検証委設置後も「話し合いを継続する」として盛り込まれていた。宍戸副参事の説明に遺族側は、「これが付帯決議に違反しないと言えるのか? 遺族に真摯に向き合っているやり方なのか?」「後付けの理由だ」などと反発した。

 市教委側はまた、「(昨秋の文科省、県教委の入った)四者円卓会議も含め、遺族との“話し合い”はいろいろな形で続けてきた」と繰り返し、境直彦教育長は、「対話を拒んできたわけではない」と理解を求めた。

 遺族はこの主張にも、「それは“話し合い”ではない。“打ち合わせをした”という報告だ。答えになっていない」などと、市教委側のすり替え論を問題視した。

 実は、市教委による遺族との話し合いが長期間休止したのは、今回が初めてではない。

遺族が決して忘れない
2年前の「スタコラサッサ事件」

 震災から3ヵ月後の6月4日に行われた2回目の説明会は、あらかじめ1時間という時間制限が設けられて行われた。この説明会で学校側・市教委側は、通告した時間がくると本当に切り上げてしまった。

 この時の議事録には、一斉に部屋を出ていく市教委幹部や大川小幹部に向かって遺族たちが声を上げた、こんなやりとりが残されている。

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加藤順子 [フォトジャーナリスト、気象予報士]

気象キャスターや番組ディレクターを経て、取材者に。防災、気象、対話、科学コミュニケーションをテーマに様々な形で活動中。「気象サイエンスカフェ」オーガナイザー。最新著書は、ジャーナリストの池上正樹氏との共著『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)。『ふたたび、ここから―東日本大震災・石巻の人たちの50日間』(ポプラ社)でも写真を担当し、執筆協力も行っている。他に、共著で『気象予報士になる!?』(秀和システム)。最新刊は『石巻市立大川小学校「事故検証委員会」を検証する』(ポプラ社)。
ブログ:http://katoyori.blogspot.jp/


大津波の惨事「大川小学校」~揺らぐ“真実”~

東日本大震災の大津波で全校児童108人のうち74人が死亡・行方不明となった宮城県石巻市立大川小学校。この世界でも例を見ない「惨事」について、震災から1年経った今、これまで伏せられてきた“真実”がついに解き明かされようとしている。この連載では、大川小学校の“真実”を明らかにするとともに、子どもの命を守るためにあるべき安心・安全な学校の管理体制を考える。

「大津波の惨事「大川小学校」~揺らぐ“真実”~」

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