遺族側の再三の要請により、10ヵ月ぶりに説明会が再開した
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東日本大震災の大津波で、児童74人と教職員10人が死亡・行方不明となった宮城県石巻市立大川小学校の問題で8日、市教育委員会が主催する遺族との話し合いが市内で行われた。これは、本来8月開催の予定だったが、地震発生により延期となり、この日開かれたもの。集まった30人ほどの遺族からは、昨年10月28日の前回から約10ヵ月ぶりの開催となった理由や、遺族への心のケアが滞っていることへの質問などが相次いだ。話し合いは、約4時間半にわたった。

市教委が主張する
「話し合いは続けてきた」の中身とは

家族は、過去の説明会での不審点をスクリーンに映し出し、指導主事の宍戸健悦副参事(スクリーン前の男性)に説明を求めた
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 市教委はこの10ヵ月以上の間、遺族側の再三の開催要求にもかかわらず、保護者向けの説明会を拒んできた。

「なかなかこの場を開いてくれなかった」(遺族)理由を問われた宍戸健悦副参事は、「全体のこのような(話し合いの)場では、教育委員会が検証をお願いしている状況のなかで、事故を議論をするのは、検証委員会と別のスタンスになる」と説明した。

 だが、両者の協議はそもそも、市議会での検証委設置の予算を通した際の付帯決議に、検証委設置後も「話し合いを継続する」として盛り込まれていた。宍戸副参事の説明に遺族側は、「これが付帯決議に違反しないと言えるのか? 遺族に真摯に向き合っているやり方なのか?」「後付けの理由だ」などと反発した。

 市教委側はまた、「(昨秋の文科省、県教委の入った)四者円卓会議も含め、遺族との“話し合い”はいろいろな形で続けてきた」と繰り返し、境直彦教育長は、「対話を拒んできたわけではない」と理解を求めた。

 遺族はこの主張にも、「それは“話し合い”ではない。“打ち合わせをした”という報告だ。答えになっていない」などと、市教委側のすり替え論を問題視した。

 実は、市教委による遺族との話し合いが長期間休止したのは、今回が初めてではない。

遺族が決して忘れない
2年前の「スタコラサッサ事件」

 震災から3ヵ月後の6月4日に行われた2回目の説明会は、あらかじめ1時間という時間制限が設けられて行われた。この説明会で学校側・市教委側は、通告した時間がくると本当に切り上げてしまった。

 この時の議事録には、一斉に部屋を出ていく市教委幹部や大川小幹部に向かって遺族たちが声を上げた、こんなやりとりが残されている。