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ジャーナリストキャンプ報告「震災後の福島に生きる」

「復興」という言葉はもういらない?
いわき・復興飲食店街で生まれた違和感

中村真理
【第8回】 2013年7月16日
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参院選が始まり、被災地や街中で「復興」のかけ声が再び騒がしくなってきた。東日本大震災の話題に、必ずと出てくる「復興」。ところが、いわきの復興飲食店街で、看板から「復興」を外そうという議論が飛び出した。復興商店街や飲食店街と言えば、被災地の住民らが力を合わせて震災の苦境を乗り切ろうとする復興のシンボル的な存在の一つ。そんな彼らがなぜ、スローガンを外そうと思うのか。(取材・文・写真/中村真理<なかむら・まり>)

「明けない夜はない」という
思いを込めて命名

 福島県いわき市。JRいわき駅前の繁華街内に「復興飲食店街 夜明け市場」と大きな看板がかかった狭い路地がある。「白銀小路」と呼ばれる40メートルほどの古い路地は、昭和の面影が残り、かつてスナックなど30軒もの店がひしめいていた。震災前はシャッター街と化していたが改装され、震災から8ヵ月後、「夜明け市場」として生まれ変わった。被災した店主らの再起を支援しようとする試みは、「明けない夜はない」という思いを込めた名前とともに、街に復興のシンボルを創ろうと立ち上がった――。

昼の夜明け市場。大きな看板が目を引く

 公式ホームページにそう説明があり、被災地発の復興の動きとして多数の新聞や雑誌に取り上げられた。地震、津波、さらに福島第一原発事故、風評被害と何重苦も抱える街で、人が集う酒場を作り、気持ちの面からも「復興」へつなげる。ステキな取り組みだと考え、5月初めに取材を申し込んだ。

 「名前から『復興』の言葉を外そうかって今、話し合っているんですよ」

 路地の2階にある事務所兼倉庫で、飲食店街の運営管理会社で現地責任者を務める松本丈さんが言った。「外から来た人は福島を『復興』という言葉で見るかもしれないけど、地元でその言葉を言い続けるのには違和感があったんです」という。

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ジャーナリストキャンプ報告「震災後の福島に生きる」

 原発事故報道に埋もれた「フクシマ」のリアルに、百戦錬磨のジャーナリストたちが迫る。新聞協会賞受賞、朝日新聞「プロメテウスの罠」の依光隆明。「フクシマ論」で一気に注目を浴びた気鋭の社会学者・開沼博。地元東北を代表する地方紙、河北新報で気を吐く編集委員・寺島英弥。ネットの視点を持つ前ニコニコニュース編集長・亀松太郎。そしてデータジャーナリズムの第一人者・赤倉優蔵。5月、一斉に福島県いわき市に入り、グループを率いて競い合うように取材した彼らが、震災から二年を過ぎた被災地で見たものは。

「ジャーナリストキャンプ報告「震災後の福島に生きる」」

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