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山田厚史の「世界かわら版」

消費増税の舞台裏、緒戦は官僚連合圧勝
そして始まった獲物の分捕り合戦

山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]
【第46回】 2013年10月10日
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 8兆円増税して、5兆円ばらまく。来年4月から大衆課税が始まるが、集めた税金の3分の2が景気対策に消える。社会保障財源に回るはずだった増税で、最も恩恵を受けるのは法人税を払っている大企業ということになる。永田町で繰り広げられる風景は、さながら増税マネーの分捕り合戦である。

消費増税を巡る
安倍政権の勢力相関図

 消費増税を巡る攻めぎ合いは、安倍政権を支える勢力の内戦ともいえる展開だ。官邸・官僚・自民党という3極の攻防である。

 「官邸」とは安倍晋三首相・菅義偉官房長官を中心とする政治主導を目指す側近グループ、「官僚」は財務省を核とする実務派集団、「自民党」は財務省に同調する税制調査会と土建などの族議員による国土強靭化支持層の混成部隊だ。

 首相にはためらいがあった。増税で景気を腰折れさせたら、アベノミクスの成果が台無しになる。高い支持率を支えるのは経済回復への期待だ。これが崩れたら長期政権の夢は消え、念願の憲法改正が遠のく。

 財務相を経験していない安倍は、経済政策で上げ潮派だ。財務省の敷いた路線をそのまま走ることに抵抗があった。もともと財政への危機感は希薄だ。

 第一次安倍内閣は小泉・竹中路線を引き継いだ新自由主義の色彩が濃かった。政権を投げ出した失意の時代、周辺に集まったのは本田悦郎静岡県立大教授、高橋洋一嘉悦大学教授など経済政策で「傍流の異端者」に位置する人たちだった。

 本田も高橋も財務官僚出身だが、役所の外に新天地を求め、財務省路線に冷ややか。そこに竹中平蔵や浜田宏一イェール大名誉教授などが合流した。経済に明るくない安倍に金融緩和とインフレ政策を吹き込んだのは、こうした人脈である。異端であっても不遇の時の友は信用できる。安倍が耳を傾けるのは側近グループの声である。

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山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]

やまだ あつし/1971年朝日新聞入社。青森・千葉支局員を経て経済記者。大蔵省、外務省、自動車業界、金融証券業界など担当。ロンドン特派員として東欧の市場経済化、EC市場統合などを取材、93年から編集委員。ハーバード大学ニーマンフェロー。朝日新聞特別編集委員(経済担当)として大蔵行政や金融業界の体質を問う記事を執筆。2000年からバンコク特派員。2012年からフリージャーナリスト。CS放送「朝日ニュースター」で、「パックインジャーナル」のコメンテーターなど務める。

 


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元朝日新聞編集員で、反骨のジャーナリスト山田厚史が、世界中で起こる政治・経済の森羅万象に鋭く切り込む。その独自の視点で、強者の論理の欺瞞や矛盾、市場原理の裏に潜む冷徹な打算を解き明かします。

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