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窮地のオバマが放った希望の矢・イエレン氏の重責
初の女性FRB議長は出口戦略の絵図を描けるか?

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第297回】 2013年10月15日
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FRB史上初の女性トップが誕生
次期議長に指名されたイエレン氏

 10月9日、オバマ大統領がバーナンキFRB議長の後任として、現副議長のジャネット・イエレン氏を指名した。イエレン氏はFRB(連邦準備理事会)の中で金融緩和策を支持する“ハト派”の代表格で、バーナンキ現議長の政策を踏襲することになるだろう。

 ただ、今後金融緩和策の縮小のタイミングを探るなど重要な使命を帯びており、FRB内部の意見集約に苦戦するとの見方もある。同氏がしっかりしたリーダーシップを発揮して、米国経済の回復をいかに支援するか腕の見せ所だ。

 今回の指名に関しては、当初オバマ大統領の経済ブレーンであるローレンス・サマーズ・元ハーバード大学学長を指名する予定だったが、議会の反対が強いため、サマーズ氏自身が議長候補を辞退する異例の事態になっていた。

 サマーズ氏の辞退の意味は小さくない。もともとオバマ大統領の業績については批判的な見方が多く、経済専門家の中には「歴代の大統領の中でも最も業績の少ない大統領」と厳しい認識もあった。それに加えて、シリアへの軍事介入問題でロシアのプーチン大統領に主役の座を奪われた。

 2014年度予算案が難航しており、一部の政府系機関の閉鎖に追い込まれている。国民の生活にもマイナスの影響が出始めている。それに、今回のFRB議長選任についても不手際が続いた。

 さらにAPECなどのアジア歴訪を中止したため、会議での中国の影響力が増強することを許す結果になった。オバマ大統領の支持率はまだ下落余地がありそうだ。

 弱体化しつつある米国の政治をイエレン氏がいかにサポートできるか、わが国をはじめ世界の経済にとっても、重要なファクターになるはずだ。

 もともとイエレン氏は、次期FRB議長の最有力候補に名前が挙がっており、大統領から指名されたこと自体に驚きはない。しかし重要なポイントは、イエレン氏を指名したオバマ大統領の指導力の低下だ。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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