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田中均の「世界を見る眼」

東アジアで起き得る地政学リスクを考える
北朝鮮・中国の変化は重大危機につながるか?

田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]
【第25回】 2013年10月16日
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今後東アジアで起こる危機
世界全体の危機へ繋がる可能性

 冷戦終了後の20年余。世界は数多くの大きな危機に見舞われてきた。危機は人命の犠牲や経済活動への深刻な打撃を生んだ。

 あえて5つの危機を選ぶなら、筆者は1991年および2003年からの2次にわたる対イラク戦争、2001年同時多発テロからアフガン戦争、2008年リーマンショック、2010年以降先進国での財政危機、そして2010年以降の「アラブの春」と中東の混乱、を挙げたい。

 これらの危機が完全に終焉したわけではない。エジプトやシリアでの混乱はいまだに現在進行形の危機である。シリアの化学兵器廃棄が順調に進むことを願いたいが、内戦和平プロセスと相まって、再び危機を迎える可能性も排除されない。

 はたして、今後世界にさらなる危機が生じるとすれば、どういう種類の危機なのだろうか。私たちの生活する東アジアではどうだろうか。この20年をとってみれば、幸いにして東アジアは世界を揺るがすような危機を経験してこなかった。1993~94年の北朝鮮核危機や1996年の台湾海峡危機は、危機が火を噴くことはなかった。今後はどうなのだろう。

 今日、中国やインド、ASEAN諸国の高い経済成長の結果、東アジア地域は世界の成長センターとして注目を浴び、この地域で起こる危機は世界の危機となる。

 東アジアで起き得る危機とそれを引き起こすリスク要因について考えてみたい。蓋然性が最も高いのは、北朝鮮危機である。北朝鮮の頻繁な軍幹部の人事交代は、金正恩体制がいまだ盤石ではないことを示している。

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田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]

1947年生まれ。京都府出身。京都大学法学部卒業。株式会社日本総合研究所国際戦略研究所理事長、公益財団法人日本国際交流センターシニアフェロー、東京大学公共政策大学院客員教授。1969年外務省入省。北米局北米第一課首席事務官、北米局北米第二課長、アジア局北東アジア課長、北米局審議官、経済局長、アジア大洋州局長、外務審議官(政策担当)などを歴任。小泉政権では2002年に首相訪朝を実現させる。外交・安全保障、政治、経済に広く精通し、政策通の論客として知られる。

 


田中均の「世界を見る眼」

西側先進国の衰退や新興国の台頭など、従来とは異なるフェーズに入った世界情勢。とりわけ中国が発言力を増すアジアにおいて、日本は新たな外交・安全保障の枠組み作りを迫られている。自民党政権で、長らく北米やアジア・太平洋地域との外交に携わり、「外務省きっての政策通」として知られた田中 均・日本総研国際戦略研究所理事長が、来るべき国際社会のあり方と日本が進むべき道について提言する。

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