ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

“談合”は鳴りを潜め、今やアベノミクスで入札不調へ
義憤のタレコミも懐かしい有為転変の公共工事事情

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第80回】 2013年10月22日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

筆者の元に寄せられる様々な情報
「談合現場」のタレコミビデオの怪

 地方自治をテーマに全国を歩き続けている記者は、そうはいないからだろうか。ありがたいことに、いつしか手紙や電話、メールなどで色々な情報が寄せられるようになった。なかには、こちらの携帯電話に直接という薄気味悪いケ―スさえある。いずれも会ったことのない方々で、匿名や連絡先なしという場合が多い。

 寄せられる情報は多種多様だが、時代ごとに傾向のようなものがある。たとえば、全国の自治体が公共事業に邁進していた頃のタレコミだ。その多くが談合情報だった。

 ある県のダム建設事業を追っていた10年以上前のことだ。奇妙なビデオテープが当方の元に寄せられた。送り主の名前や住所の記載はなく、誰が何のために撮影し、どのような意図で送り付けてきたのかわからなかった。

 不気味に思いながらビデオテープを再生し、じっと画面に目を凝らした。

 2人の男性が会話している場面が飛び込んできた。どこかの会社の応接室のようだった。正面に座っているのが来訪者で、応対する人物の後方の上部にカメラを設置してこっそり撮影したものと思われた。

 来訪者がもっぱら話を進め、応対する人物の声はほとんど聞こえてこなかった。画像と音声が共に芳しくなく、しかも正面に座った男は早口で方言混じりときた。何度も再生して、話の中身を少しずつ把握するしかなかった。

 どうやら、来訪者はダム関連工事の談合結果を伝えに来たようだった。「トップの意向が……」「もう俺らがどうこう言えるもんじゃない……」こんな言葉をしきりに繰り返していた。やたら饒舌で、落ち着きのない男だった。一方、背中しか見えない応対者の様子は皆目わからなかった。

 謎のビデオが映し出していたのは、談合により本命から外された業者を納得させる場面だと考えられた。おそらく、談合結果に不満を抱いていたのであろう。仕切り役ないしは伝言役の来訪を待ち構え、こっそりビデオ撮影したものを外部に流出させたのではないかと判断した。

 

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

「相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記」

⇒バックナンバー一覧