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相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

“底抜け”大蘇ダムの修復はきちんと進んでいるのか?
再び現地で見た“ぼったくり工事?”の迷走としわ寄せ

相川俊英 [ジャーナリスト]
【第53回】 2012年9月25日
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熊本県大蘇ダムの水漏れ対策が進行
補修工事に携わる関係者を直撃取材

 大雨が続いたこともあってか、ダムに水が貯まっていた。これまで数回訪れた中で、一番の貯水量だと感じた。ダム湖の左岸の一部にコンクリートによる護岸のようなものができていた。それ以外は、ごく普通のロックフィル型ダムの風景だった。

 熊本県産山村にある大蘇ダムを先日、久方ぶりに訪ねてみた。連載第48回で紹介した、農水省九州農政局が建設した例の水漏れダムだ。

 灌漑用ダムとして造られたが、湖底やのり面から水が漏れ出し、計画通りに貯水できないという欠陥ダムである。ダム湖全体にコンクリートを吹き付ける漏水対策を実施する方針と聞き、この目で状況を確かめたいと足を運んだ。

 「水は貯まっています。左岸側にコンクリート吹き付け工事をしていますが、水漏れを止める効果がうかがえます」

 こう語るのは、大蘇ダム事務所の大泉勝利所長だ。農水省農村振興局設計課で施工企画調整室長を務め、今年4月にダム所長に着任した。4年前から取材している当方にとっては、3人目のダム所長となる。

 九州農政局は、大蘇ダムの漏水対策を2010年度から実施している。ダムの左岸側の斜面の一部(合計約3万平方メートル)にコンクリートを厚さ10センチまで吹き付けるものだ。総事業費は約8億4000万円で、全額国費である。補修工事は漏水対策の効果を調べる意味もあり、とりあえず今年度までの3年間にわたって行なわれることになっていた。

 こうした工法による漏水対策に「効果あり」と判断したのであろう。九州農政局は、来年度以降も追加工事を実施し、ダムを完成させる方針を打ち出した。残りの斜面約25万平方メートルに10センチほどコンクリートを吹き付け、湖底約5万平方メートルも遮水シートやソイルセメントなどで覆い尽くす。

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相川俊英 [ジャーナリスト]

1956年群馬県生まれ。放送記者を経て、1992年にフリージャーナリストに。地方自治体の取材で全国を歩き回る。97年から『週刊ダイヤモンド』委嘱記者となり、99年からテレビの報道番組『サンデープロジェクト』の特集担当レポーター。主な著書に『長野オリンピック騒動記』など。


相川俊英の地方自治“腰砕け”通信記

国政の混乱が極まるなか、事態打開の切り札として期待される「地方分権」。だが、肝心の地方自治の最前線は、ボイコット市長や勘違い知事の暴走、貴族化する議員など、お寒いエピソードのオンパレードだ。これでは地方発日本再生も夢のまた夢。ベテラン・ジャーナリストが警鐘を鳴らす!

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