2020年というタイムリミット

 東京オリンピック開催が決まって以来、いろいろな企業のトップの方と話をする際には、話題がオリンピックになることが多い。皆さんに共通する話題は、「自分の会社はオリンピックまでに何をやるのか」という点だ。

 2020年という期限が切られているため、それまでに何ができるのか、何をやるべきなのかについて、各社が考え始めている。時間が制約されているということは、日本の投資を喚起するうえで重要な意味を持っている。何をやるにせよ、2020年までに仕上げなくては意味がないからだ。

 具体的にどのようなケースがあるか考えてみよう。たとえば、首都圏にネットワークを張る鉄道会社やホテルなどの投資計画が、オリンピックに大きな影響を受けることは明らかだ。

 ではJR東日本や京成電鉄などは、オリンピックまでにどのような対応をすべきだろうか。空港から都心までのアクセスの改良は当然考えているだろう。日本経済を活性化するためには、海外からの渡航者を増やすのが有効であるとは、誰もが考えることである。

 お隣の韓国は来訪者の拡大に熱心であり、年間に1500万人ほどの人が韓国を訪れるそうだ。1000万人の目標さえまだ達成してない日本に比べれば、その違いが分かるというものだ。日本と韓国の人口比を考えれば、日本に3000万人ぐらいの来訪者があってもおかしくない。

 もしそうなれば、空港の容量や空港から都心部へのアクセスの充実が大きな課題となる。そうしたことを見越して、オリンピックまでという時間設定のなかで、集中的な取り組みが行われることに期待したい。

 鉄道会社は、駅周辺のインフラ整備という意味でも、巨大な投資を行う存在である。JR東日本で言えば、新宿での大型開発、品川での新駅も含めた開発など、巨大な都市開発が目白押しである。これらの開発はオリンピックとは本来は関係ないものだが、それを機に海外からの注目度が上がることからも、オリンピックに間に合わせるような投資の加速化が期待される。