ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
高橋洋一の俗論を撃つ!

希代のケンカ師・小泉元総理の「原発即ゼロ」発言
原発ゼロ、電力自由化、東電解体の根は一つ

高橋洋一 [嘉悦大学教授]
【第80回】 2013年11月14日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 筆者は電力の自由化をきっちりやれば、エネルギーの最適な組み合わせは自ずと達成できると考えている。原発事故が現実に起きて、そのコストが一企業でまかなえないほどに莫大になった以上、イデオロギーとは無関係に市場原理から考えると原発ゼロは自ずと出てくる最適解になる。だから電力自由化を全力で行えば、東電解体を経て、自ずとスムーズに脱原発も達成できる。

 この意味で、原発ゼロへの責任ある具体的なプロセスとは、電力自由化、その結果としての東電解体に他ならない。統制経済の考え方で、長期間の工程表を作ってみても、それはかえって無責任になってしまう。長期にわたる変化をうまく行うのは市場原理しかありえない。原発ゼロへの具体的なプロセスは、電力自由化、東電解体を示せば、それが必要かつ十分な解答になる。

決断し制度設計は任せる小泉流

 こうした観点から、今話題になっている小泉純一郎元総理大臣の意見をみてみよう。かつて、郵政民営化でお仕えしたことがある筆者にとって、相変わらず勘が冴えているといえよう。

 小泉氏は、12日、日本記者クラブで記者会見し、今後のエネルギー政策について、原発は「即ゼロの方がよいと思う」と発言し、各方面に波紋を広げている。朝日新聞が実施した世論調査では、小泉氏の原発ゼロの主張について、支持するが60%、支持しないが25%となっている。

 小泉氏の脱原発論は、いわゆる「トイレのないマンション」論だ。日本に最終処分場は作りようがないのだから原発ゼロというシンプルで説得的な考え方だ。これに対して、「楽観的で無責任」とか反論しても、小泉氏の「最終処分場もないのに原発に依存するほうがよほど無責任」で一蹴されてしまう。

 自民党の石破幹事長は、11日の記者会見で「自民党の目指す方向と違わない」とやや軌道修正してきている。ただし、「小泉氏は、いつまでに、どのようにして、誰の責任で『原発ゼロ』を実現するのかまでは踏み込んでいない。単に理想を掲げるだけではなく、答えを出すのが責任政党だ」と述べ、具体的なプロセスにこだわった。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

高橋洋一[嘉悦大学教授]

1955年、東京都に生まれる。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省入省。理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官などを歴任したあと、2006年から内閣参事官(官邸・総理補佐官補)。2008年退官。金融庁顧問。2009年政策工房を設立し会長。2010年嘉悦大学教授。主要著書に『財投改革の経済学』(東洋経済新報社)、『さらば財務省』(講談社)など。

 


高橋洋一の俗論を撃つ!

元財務官僚の経済学者・高橋洋一が、世にはびこるもっともらしい「俗論」の過ちをズバリ解説。

「高橋洋一の俗論を撃つ!」

⇒バックナンバー一覧