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市場回復でも足踏み続けるパワーマネー
投機筋が恐れる「波乱シナリオ」の中身

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第82回】 2009年6月23日
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 今年4月以降、世界の主要な株式市場が落ち着きを取り戻し、原油などの商品市況も堅調な展開になっている。そのため、市場関係者のなかでは、「投資資金がリスク資産に戻ってきた」という見方が有力になっている。

 確かに、新興国の株式や原油先物の市場動向を見ていると、今までリスクを嫌ってじっと息を潜めていた投資資金の一部が、動き始めていることは間違いないだろう。

 特に気になるのは、大手ヘッジファンドなどの“有力投資家”の動きだ。彼らが世界景気の先行きをどのように予想し、それに対してどのような投資行動を展開しているかを、考える必要がある。

 何故なら、彼らが今後の景気の先行きに自信を持って、思い切り“ポジション”を動かしているのか、あるいは先行きを読み切れないが取りあえず収益チャンスに乗ってみるというスタンスなのかによって、今後の市場動向が大きく変わって来るからだ。

世界経済の先行きには
まだまだ不透明要素が多い!

 そこで、親しいファンドマネジャー連中に聞いてみると、「景気予測に明るさは出始めているものの、景気の先行きには全幅の自信を持っているわけではない」ということがわかる。

 あるベテランファンドマネジャーは、「クライスラーやGMが破綻し、シティグループが実質的な国の管理下に置かれる状況で、すぐに景気が回復するとは考え難い」と指摘していた。

 おそらく彼は、「最悪期を脱した」と言われる米国経済に、「まだ無視できないリスク要素が隠れている」と言いたいのだろう。具体的には、下げ止まりの兆しが見えない不動産価格、金融機関が抱える不良資産、長期金利の上昇傾向などのリスクを指している。

 それらのリスク要因が火を噴くと、景気の先行きに暗雲が立ち込め、株式や債券、為替などの金融市場が再び混乱することも懸念される。

 おそらく、多くのファンドマネジャーはそうしたリスクを横目で見ながら、毎日のオペレーションを続けていることだろう。それを考えると、世界の金融市場を凌駕する、いわゆる“パワーマネー”が、本当の意味で市場に戻ってきたとは言い切れない。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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