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China Report 中国は今

日本のハイテク技術が欲しい中国と、
“危ない市場”進出に及び腰の日本

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第40回】 2009年12月10日
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 今年11月末、東京ビッグサイトで開催された2009国際ロボット展で、ひときわ人だかりのあるブースがあった。株式会社ココロ(本社:東京都羽村市)が展示するのは、キーボードの前に座り、観衆とコミュニケーションするアンドロイド。遠隔操作をして動くリアルな人体型ロボットは、表情も動きも20代のOLさんそのものだ。

「アクトロイド-DER」
ココロの人体型ロボット「アクトロイド-DER」

 ロボットといえば産業用ロボットとサービスロボットに大きく二分されるが、後者の中でも、この究極のアンドロイド技術を持つ企業は非常に限定的だ。同社が手がけるこの「アクトロイド-DERシリーズ」はキャンペーンガールやステージショーの司会などでレンタル需要が増す一方で、近年では愛知万博での活躍が記憶に新しい。

 そのアンドロイドが今、中国で注目されている。今年、同社にこんなオファーが突然持ちかけられた。

 「上海万博の会場で、上海万博の公式マスコット『海宝(ハイバオ)』の案内ロボットを出したい。中国の大学と共同開発しませんか」――。

 日本の技術を中国市場に売り込める好機がついに到来した。千載一遇のチャンスといえばまさにこのことである。その交渉に数ヵ月という時間が費やされた。だが、同社が出した結論はノーだった。

 取締役営業部長の三田武志氏は「今回は見合わせます。万博を契機にビジネスが広がればと思ったのですが……」と話す。

 ゴーサインを出さなかった理由のひとつは「納期」だった。同社の「アクトロイド-DER」は愛知万博で接客ロボットとして起用されたが、開催の4~5ヵ月前にはすでに完成していた。ところが、もし上海万博に送り込むとなると、2010年5月1日の開催には時間が足りない。今年11月の段階では設計はおろか、調印にもこぎつけていなかったからだ。

 「安全性、耐久性を想定してロボットを設計するという、慎重に準備を重ねる日本的なものづくりには、対応が難しかった」と三田氏は振り返る。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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