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スマートフォンの理想と現実

SIMフリーiPhoneが日本のモバイル産業に投じた一石

クロサカタツヤ [株式会社 企/株式会社TNC 代表]
【第55回】 2013年11月28日
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 アップルがまた一つ、日本のモバイル産業に、一石を投じた。

 といっても、いわゆる「ドコモiPhone」の話ではない。アップルジャパンが11月22日夕方から、SIMロックが解除されたiPhone5s/5c(以下SIMフリーiPhone)を、オンラインのアップルストアで販売開始したのだ。

 すでに多くのメディアで取り上げられ、またSNS等でも話題になっているので、一報を目にした方もいるだろう。概要については以下の記事が詳しい。

http://japanese.engadget.com/2013/11/22/sim-iphone-5s-iphone-5c-5s-7-1800/

 SIMロックとは、契約者を識別するために端末内に差し込まれたSIMカード(ICカード)と端末の紐付けに関して施された処置で、特定のSIMカード以外は使えないように端末側で制限をかけるものである。異なる通信事業者であっても、同じ通信規格や周波数帯を利用していれば、SIMカードを切り替えることで通信回線を切り替えることが原理的には可能なのだが、SIMロックによってそれができなくなる。

 たとえば、海外で現地の通信事業者の通信サービスを直接利用したい場合、SIMロックが施されていない端末であれば、現地のSIMカードを調達することによって利用できるが、SIMロック端末だとそれができない。また異なる通信事業者間を自由に移動することもできなくなり、消費者の選択を狭める、という批判もあった。

 こうした声を受けて、2010年4月に、総務省と通信事業者各社の間で、順次SIMロックを解除していくことが基本的に合意された。しかし今日まで、SIMロックの手続きは簡便とは言いがたく、また割賦販売により回線契約が縛られていることもあるため、SIMロック解除の機運はあまり盛り上がっていないというのが、現状ではあった。

 それが、何の前触れもなく、アップルジャパンからSIMフリーiPhoneが発売された。前述のように、SNSでは、いわば「突然の朗報」として歓迎され、Webメディアを中心に報道も相次いだ。ネットではそれだけの話題として受け止められている、ということだ。

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クロサカタツヤ[株式会社 企/株式会社TNC 代表]

1975年生まれ。慶應義塾大学・大学院(政策・メディア研究科)修了後、三菱総合研究所にて情報通信分野のコンサルティングや国内外の政策調査等に従事。その後2007年に独立し、現在は株式会社企(くわだて)代表として、通信・メディア産業の経営戦略立案や資本政策のアドバイザー業務を行う。


スマートフォンの理想と現実

2011年はスマートフォンの普及が本格化する年になる…。業界関係者の誰しもがそう予感していた矢先に発生した東日本大震災は、社会におけるケータイの位置づけを大きく変えた。しかし、スマートフォンの生産に影響が及びつつも、通信事業者各社はその普及を引き続き目指し、消費者もまたそれに呼応している。震災を受けて日本社会自体が変わらなければならない時に、スマホを含むケータイはどんな役割を果たしうるのか。ユーザー意識、端末開発、インフラ動向、ビジネスモデル等、様々な観点からその可能性と課題に迫る。

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