米アップルのスマートフォンをめぐって謎が深まっている。最新iPhone5sは瞬く間に“枯渇”したが、カラフルな廉価モデルiPhone5cは在庫が積まれている。何が起きているのか。
「正直言って“売れるモノ”というより、“売るモノ”という感じですね」
10月初頭、大手通信キャリアの社員は、潤沢に在庫を抱えている色とりどりのプラスチック製のiPhone5cについて、ふとそんな言葉を漏らした。
先月20日に始まったばかりのiPhone商戦は、以前から取り扱ってきたソフトバンクとKDDIの2社に加えて、ついにNTTドコモが参入し“三つどもえ”の顧客争奪戦に拍車がかかっている。
しかしその内実、3社共に共通する悩みがある。
それは発売直後から、iPhone5sは在庫切れ、もしくは一部モデルしか残っておらず、品薄状態が続いていることだ。ゴールドなど人気色はオークションで高値落札されており、一刻も早くユーザーに用意したいが、解消のめどが立たないという。
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「予約ベースで見ても、8対2ほどの割合で、5sに圧倒的な人気が集まっています」(モバイル端末専門家)
ところが、現実の入荷状況は需要とかみ合っていない。複数の業界関係者の話を総合すると、初期入荷分は3社合計で40万~50万台で、そのうちの60~70%が5cだったという。
またアップルの社員こそ5cを「陶器のような手触り」などと自画自賛するが、5sに比べるとプラスチック製がやや安っぽく見えることは否めない。実際に各キャリアとも、5cの在庫なら十分あるという。
ではなぜ、アップルは需給ギャップを無視して、せっせと5cを日本に出荷しているのか。その“謎”の説明として、現時点で三つの仮説が挙がっている。