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悶える職場~踏みにじられた人々の崩壊と再生 吉田典史

仕事丸投げと罵声の波状攻撃に悲憤する社畜主任
「ヤバイ支店長」が牛耳る不動産会社は時代錯誤か?

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第22回】 2013年12月3日
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 今回は、中堅不動産会社(社員数110人)の支店で、主任として支店長を支えていた男性(31歳)を取材した。男性は、上司である支店長からの扱いに不満を持ち、数ヵ月前に会社を辞めた。現在は他の不動産会社に移り、営業の仕事をしている。

 舞台は不動産会社ではあるが、男性がぶつかった問題は他の業界でもよく見かけるものだ。その根底には、上司がプレイングマネジャーであるという「働き方」に関する課題がある。ある意味、上司と部下の相性の問題として捉えるべきものではないと思う。

 プレイングマネジャーとは、管理職が部下の育成などのマネジメントだけではなく、1人のプレーヤーとしても仕事をすることを意味する。しかもプレーヤーとしての仕事量やノルマ(目標)は、部内で一番多い傾向がある。こうした体制は、ここ十数年、主に企業が人件費を減らす目的で増えている。

 その結果、上司と部下との意思疎通が不十分になり、企業社会では様々な問題が起きている。大きな問題は、管理職が現場の仕事に関わり続け、そこに時間をとられることで、部下の育成も人事評価も杜撰になってしまうことだ。今回のケースも、そうした課題を念頭に置いて読み進めていただくと、実態が見えてくると思う。読者諸氏にも一緒に考えてほしい。


Aさんの取材は杉並区で行われた

支店長なのにやるのは営業ばかり!
管理しないプレイングマネジャー

筆者 この秋に、不動産会社を退職されたのですね。そのあたりの経緯を教えてください。

A氏 上司だった支店長に、いいように使われていた。まさに「社畜」のようなもの。もう嫌だった。あんなところで働くのはヤバイ。

筆者 支店長はどのようなタイプの上司でしたか。

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


悶える職場~踏みにじられた人々の崩壊と再生 吉田典史

 企業で働くビジネスマンが喘いでいる。職場では競争原理が浸透し、リストラなどの「排除の論理」は一段と強くなる。そのプロセスでは、退職強要やいじめ、パワハラなどが横行する。最近のマスメディアの報道は、これら労働の現場を俯瞰で捉える傾向がある。

 たとえば、「解雇規制の緩和」がその一例と言える。事実関係で言えば、社員数が100以下の中小企業では、戦前から一貫して解雇やその前段階と言える退職強要などが乱発されているにもかかわらず、こうした課題がよく吟味されないまま、「今の日本には解雇規制の緩和が必要ではないか」という論調が一面で出ている。また、社員に低賃金での重労働を強いる「ブラック企業」の問題も、あたかも特定の企業で起きている問題であるかのように、型にはめられた批判がなされる。だが、バブル崩壊以降の不況や経営環境の激変の中で、そうした土壌は世の中のほとんどの企業に根付いていると言ってもいい。

 これまでのようにメディアが俯瞰でとらえる限り、労働現場の実態は見えない。会社は状況いかんでは事実上、社員を殺してしまうことさえある。また、そのことにほぼ全ての社員が頬かむりをし、見て見ぬふりをするのが現実だ。劣悪な労働現場には、社員を苦しめる「狂気」が存在するのだ。この連載では、理不尽な職場で心や肉体を破壊され、踏みにじられた人々の横顔を浮き彫りにし、彼らが再生していくプロセスにも言及する。転機を迎えた日本の職場が抱える問題点や、あるべき姿とは何か。読者諸氏には、一緒に考えてほしい。

「悶える職場~踏みにじられた人々の崩壊と再生 吉田典史」

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