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今週のキーワード 真壁昭夫

主力事業の「仁義なきリストラ」は
“日本力”の拡大再生産を促すか?

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第78回】 2009年5月26日
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 現在、わが国は戦後最大の経済危機に直面している。5月20日の発表によると、昨年10-12月期の実質GDPは、対前期年率マイナス14.4%、さらに今年1-3月期は同マイナス15.2%と、2四半期連続で戦後最大の落ち込みとなった。

 この数字を見ても、わが国の経済が崖から突き落とされるように急落していることがわかる。

 一方、世界経済の動きに目を移すと、サブプライム問題の表面化をきっかけにして、米国の過剰消費体質に依存する“20世紀型の経済構造”は終焉を迎えた。

 今のところ、それに続く“21世紀型の経済構造”の姿ははっきりせず、世界経済は今、構造転換の断層の中に落ち込んでしまっている。その結果が、米国やわが国をはじめとする世界的な景気急落となって現れているのだ。

 このような状況下、わが国の企業を取り巻く経済環境は、輸出の減少などをはじめ、顕著に変化している。その変化に対応できない企業が、今後“淘汰の洗礼”を受けることは避けられない。歴史のある企業だろうと、有名な大企業であろうと、経営悪化の波が容赦なく襲いかかることになる。

 そうした厳しい環境を乗り越えるためには、今までやっていたことを続けていても仕方がない。ビジネスモデルを全面的に見直して、新しい環境に適合した事業構造の改革を行なうことが、必要になる。

 その場合のメルクマールは、「長期的視点に立った収益力の強化」だ。一定の収益を上げなければ、企業の存続さえ危うくなるからだ。そこには、日本企業が従来から持ち続けて来た“温情主義”など、入り込む余地はない。

 時に経営者は、収益力強化のために、企業発祥の礎となった“コア事業”からの撤退さえ、決断せざるを得ないことも想定される。それを決断しなければ、企業の生き残りすらおぼつかないケースも出てくるだろう。

 今後企業経営者には、大胆な改革の実行により、日本企業が持つ「底力=“日本力”」を一層磨くことが求められる。

 わが国企業を取り巻く経済環境の変化について、2つのキーワードを考えるとわかり易い。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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