情報活用の成熟度を意識する

 昨今多くの企業がビジネスインテリジェンス(BI)の名のもと、BIシステムを導入しデータを解析して業務につなげるという取り組みを始めました。

 しかし、現実にはデータ活用が進み分析を武器にできている企業はごく一部であり、大多数の企業は過去のデータ集積と「見える化」にとどまるように、データの活用度合いにまだ改善の余地がある場合がほとんどであるのが実情です。

 BIシステムを構築することで、定型リポート、アドホックリポート、クエリー、ドリルダウンといったようないわゆるOLAP(On-Line Analytical Processing=オンライン分析処理)帳票を使ってKPI(目的変数)を定期的に観測するというビジネスの「見える化」は実現されます。

 一方で、現場の担当者が気になったところについてドリルダウンして、データの中身を詳しく見て原因を定性的に検証するにとどまり、定量的・統計的な分析・評価までは至らない場合が多く散見されます。

 その段階から、業績向上・もしくは業務改善につながるターゲットKPIを定義し、KPIが過去の分布に対して異常値を示した場合に、業務・運用担当者へのアラートを挙げる、関連データから統計的に要因分析を実施する、予測モデルの精度向上に寄与する重要因子を特定し、高精度な予測モデルの構築、さらに運用改善を含む業務最適化へと情報活用の成熟度を高めていくことが競争優位性を築くことにつながるのです。

多くの企業が直面する6つの壁

 実際に分析を企業のビジネス力に直結させるためには、大きく6つのステップに分かれる工程をシームレスにつなぐスキルを持ったチームが必要となります。

 多くの企業でアナリティクスを武器とし業務改善への運用に至らない理由は、このうちのいくつかのステップで壁に当たり、プロセスの全体がシームレスにつながっていないことに大きな要因であります。