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山田厚史の「世界かわら版」

「アベノミクス」=ニセ薬効果の賞味期限
消費税増税が引き金になる2014年の波乱

山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]
【第52回】 2014年1月16日
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 時の流れが加速している。世の移ろいも速くなった。人気商品も、ヒットソングも、リーディングカンパニーも、めまぐるしく変わる昨今である。そんな中、近年稀な安定感を感じさせた安倍政権も2014年は波乱に揉まれるだろう。経済(医学)用語でいう「プラシーボ効果」が綻びる。プラシーボとは偽薬つまり「ニセ薬」のこと。皆がクスリと信じていた時は効くが、やがて薬効は消える。経済政策の詐術は長続きすることはない。きっかけはさしずめ消費税増税。アベノミクスの化けの皮が剥がれる年になりそうだ。

銀行に注がれた資金はブタ積みのまま

 2013年末、日銀の資金供給量は200兆円を突破した。アベノミクスの第一の矢「異次元の金融緩和」を数字で表したものだ。市場に流し込むおカネの量(マネタリーベース)は札束で積み上げれば上空2000キロに達する市場空前の規模になった。

 アベノミクスが始まる前、2013年3月末は146兆円だった。黒田東彦日銀総裁になって54兆円が積み増しされた勘定だ。

 マネーは経済の血液と言われる。大量に輸血すれば元気になる、ということだが、人の体も一国の経済もそんな単純ではない。日銀統計を調べると銀行融資は470兆円台で微増という状態。どう見ても怒涛のマネーが貸出に向かっているとは言えない。

 約50,000,000,000,000円もの黒田マネーはどこに行った。アベノミクスでは中央銀行が銀行に大量にマネーを供給することで資金を必要としている企業への融資が増え、経済活動が活発になる、ということだった。

 「銀行に注がれた資金はブタ積みです」と日銀関係者はいう。ブタ積みとは業界用語で、日銀に設けられた銀行口座に溜まっている、という意味だ。

 日銀は銀行の銀行である。一個人である我々が口座を持つことはできない。日銀との取引は銀行など金融機関だけに許されている。この口座にカネを流したり吸いとったりして、日銀は金融調節を日々行なっている。カネが注入されれば銀行は金利をつけて貸出し、利ザヤを抜く。それが銀行の商売だ。日銀が供給するベースマネーは銀行の飯のタネである。

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山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]

やまだ あつし/1971年朝日新聞入社。青森・千葉支局員を経て経済記者。大蔵省、外務省、自動車業界、金融証券業界など担当。ロンドン特派員として東欧の市場経済化、EC市場統合などを取材、93年から編集委員。ハーバード大学ニーマンフェロー。朝日新聞特別編集委員(経済担当)として大蔵行政や金融業界の体質を問う記事を執筆。2000年からバンコク特派員。2012年からフリージャーナリスト。CS放送「朝日ニュースター」で、「パックインジャーナル」のコメンテーターなど務める。

 


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元朝日新聞編集員で、反骨のジャーナリスト山田厚史が、世界中で起こる政治・経済の森羅万象に鋭く切り込む。その独自の視点で、強者の論理の欺瞞や矛盾、市場原理の裏に潜む冷徹な打算を解き明かします。

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