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毎月分配型を「卒業」しよう

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第313回】 2014年1月22日
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それでも約3割ある毎月分配型投信
「肉食系」を買ってしまう高齢投資家も

 1月21日の『日本経済新聞』朝刊のトップ記事は、「投信長期運用志向に 毎月分配型の比率低下」と題する、日本の投資信託の状況を報じたものだった。主なポイントは、2011年には投信残高全体の50%を上回っていた毎月分配型の投資信託のシェアが、30%を下回ったということだ。

 投資信託で「毎月分配型」とは、分配金を毎月1回支払うタイプの投資信託を指す。

 登場した当初は、日本円よりも高利回りだった先進国の債券に投資して為替リスクを取りながらも、年率で4~5%くらいの分配金を支払うものだった。元本は変動する(たいていは減っていく)ものの、分配金を安定的に保つ傾向が強く、「毎月ある安定的な収入」を強調して、高齢な顧客を中心によく売れた。

 1997年12月に設定され、一時は5兆円を超える資金を集めた国際投信投資顧問の通称「グロソブ」こと「グローバル・ソブリンオープン」が代表商品だ。主に2000年代の前半には、外国債券あるいは高配当の外国株式などに投資して、分配金を高く設計した商品がよく売れた。

 後述のように筆者は、このタイプの投信についても「全ての人にとって、投資しない方がいいと思う」のだが、思えばこれらはまだ「おとなしい」商品だった。後に続く商品との比較では、「草食系・毎月分配投信」と呼んでいいだろう。

 その後2000年代後半から、先進国の金利低下もあり、投資対象が海外のハイイールド債(信用リスクの高い高利回りの債券)や海外REIT(不動産投資信託)など徐々にリスクの大きなものに移行し、さらにこれらに投資すると同時に、通貨リスクをブラジル・レアルや南ア・ランドなど高金利の新興国通貨にスイッチする「通貨選択型」と呼ばれる商品が登場し、元本に対して年率で時には10%を超えるような分配金を支払うようになった。

 新興国通貨は、通貨のリスクだけで先進国の株価指数(たとえば日経平均)よりも大きなリスク(変動率の大きさ)を持っているが、分配金は安定的に支払われるものが多く、「投資信託なので元本保証ではありませんが、分配金の支払い実績はこの通り安定しています」と分配金の大きさと安定を強調して、こちらも高齢者に売れた。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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