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タイム・ワーナーから放たれたAOLは、ネットの激戦地で生き残れるのか

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第46回】 2009年6月3日
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 タイム・ワーナーがとうとうAOLを分離し、独立した公開企業としてスピンアウトさせることになった。

 2001年に行われたAOLによるタイム・ワーナーの買収は、「世紀の企業結婚」とまで称された、当時最大の企業合併だった。その額1650億ドル。ドットコム・バブルの最盛期でもあり、またインターネット企業と従来型のメディア企業が手を結んで、21世紀型のメディア・コングロマリットの夢がとうとう実現すると誰もが大きな期待を抱いたのである。

 ところが、この企業結婚はハネムーンを終えるやいなや、大失敗だったことが明らかになる。ドットコム・バブル崩壊の影響も受けて、合併したAOLタイム・ワーナー社の利益は下がり始め、2002年には990億ドルの赤字を計上。それに加え、合併に際してAOLが不正な会計報告によって利益を膨らませていたことが発覚。企業価値は激減した。

 合併後2年足らずで、世紀の合併を率いたタイム・ワーナーCEOのジェラルド・レヴィンとAOL共同創設者のスティーブ・ケースが相次ぎ辞任。メディア・コングロマリットの未来を説いた2人が不在となって、2社の運命はすっかり変わってしまったのである。2003年にはAOLを社名から落とし、AOLの影はますます薄くなっていった。

 その後10年近くに及ぶ2社の動向は、ついには「悪性夫婦」と呼ばれるまでに息の合わないものになった。世紀の企業合併は、今や「見習ってはならない反面教師」としての方が価値があるとされているくらいだ。

 その見習ってはならないいくつかの要素を挙げてみよう。

 まずひとつは、インターネット・ビジネスの性質を理解しない経営陣が多かったこと。スティーブ・ケースが辞めてから、AOLのトップに就いたのはテレビや映画といった従来型のメディア・コンテンツ企業の出身者だった。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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