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海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線

ミャンマー金融の歴史から見る「貨幣の機能」
根強い貨幣や銀行への不信感はどこからきているのか

杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]
【第13回】 2014年2月6日
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 現在流通している通貨が、ある日突然、使えなくなったらどうなるだろうか。たちまち社会が大混乱に陥ることは容易に想像できる。このような空想じみたことは、小説の世界でしかお目にかかれないが、それが過去3度も起こったのがミャンマーだ。

 ミャンマーの銀行業をはじめとした金融業界について、これから3回のシリーズで見ていきたい。まず理解すべき点は、ミャンマーの歴史的な経緯から、自国通貨であるチャットに対する信頼度合いが、我々の一般的な感覚から大きく異なることだ。そのことを理解するために、通貨の基本的な価値が、ミャンマーではどのように機能していたのかという観点から、現地の金融システムの歴史を振り返ってみたい。

尺度、保存、交換
通貨の持つ3つの機能

 経済学の教科書によく記載されているように、通貨には少なくとも3つの機能があると言われている。それが、「価値の尺度」「価値の保存」「交換の手段」だ。

 「価値の尺度」とは、世の中で提供されている財・サービスに対して金額という尺度で評価することにより、それぞれの価値を相対的に示す機能のことだ。例えば、スイカが800円、メロンが1600円、サンマが100円というように、モノやサービスに値段という尺度を与えることで、価値を判断しやすくなる。

 「価値の保存」とは、文字通り貨幣が価値を保存することが出来ることを指している。お金は、モノと違って腐ることはなく、貯めておけばいつでも好きなときにモノと交換(購入)することができる。たくさん貯めておけば、高価なモノと交換(購入)することもできる。このことを「価値の保存」と呼んでいる。

 「交換の手段」とは、その経済社会のなかで提供されている財やサービスを見合った貨幣を出すことにより交換できるという機能だ。平たく言えば、お金を支払い、モノを買うことができるという機能で、貨幣に交換の手段としての機能があることで、経済活動の活発化が実現する。

 それでは、これらの貨幣の基本的な機能が、どのように生かされてきたかを、ミャンマーの経済史のなかから見ていきたい。

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杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]

すぎた こういち/カリフォルニア大学サンタバーバラ校物理学及び生物学部卒。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)経済学修士課程卒。15年間にわたり複数の外資系投資銀行にて、海外進出戦略立案サポートや、M&Aアドバイザリーをはじめとするコーポレートファイナンス業務に携わる。2000年から2009年まで、UBS証券会社投資銀行本部M&Aアドバイザリーチームに在籍し、数多くのM&A案件においてアドバイザーを務める。また、2009年から2012年まで、米系投資銀行のフーリハン・ローキーにて、在日副代表を務める傍ら東南アジアにおけるM&Aアドバイザリー業務に従事。2012年に、東南アジアでのM&Aアドバイザリー及び業界調査を主要業務とする株式会社アジア戦略アドバイザリーを創業。よりリスク度の高い東南アジア案件において、質の高いアドバイザリーサービスの提供を目指してASEAN各国での案件を遂行中。特に、現地の主要財閥との直接の関係を生かし、日系企業と現地企業間の資本・業務提携をサポートしている。ミャンマーにおいては、大手事業会社、総合商社、金融機関等の進出戦略立案及びその実行サポートに携わる一方で、2012年よりダイヤモンド・オンライン(Diamond Online)にて、3年間にわたり人気コラム『ミャンマー その投資ブームは本物か』『海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線』を連載。


海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線

民主化へ舵を切り、欧米の経済制裁が解除されたことで、世界中の企業の耳目が集まるミャンマー市場。具体的な民主化政策の実行からわずか1年で、会社法や外国投資法など進出する企業にとって重要な法律が施行され、市場として環境が整い始めた。本連載では、企業進出の現場から何が具体的な問題点なのか、またそれを乗り越えるようどのような努力が現在なされているのかについて見ていきたい。「ミャンマー その投資ブームは本物か」に続く、連載第2弾。綿密な現地取材をもとに、ミャンマービジネスの最前線を追う。

「海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線」

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