ミャンマーにとって、重要な産業である農業。そこには大きな可能性を秘めており、また、ミャンマー側でも日本の農業に対して高い期待を持っている。この業界について、日本企業はどのように収益機会として参入することが可能なのだろうか。
今回は、三井物産のミャンマーにおける農業分野、特に稲作への関与のなかから、そのカギを読み取っていきたい。特に、三井物産によるミャンマーでの農業国策会社MAPCOとの事業提携から、その提携実現に直接携わった三井物産の食糧本部プロジェクトの動向に注目した。
45年ぶりにミャンマー米
日本輸出を成功させた三井物産
三井物産は、昨年2月に、ミャンマーでコメ事業への参入を発表。ミャンマー米の集荷・加工・販売を担う国策民営会社Myanmar Agribusiness Public Corporation(略称MAPCO、ヤンゴン市)とコメ事業で幅広く提携し、共同で精米・加工の大型工場をヤンゴン地区などに建設する。
MAPCOとの事業提携を軸に、コメ輸出量の大幅な拡大を計画するミャンマーに農業事業の足場を築き、営農指導から加工・販売まで一貫して手がけることで現地のコメの貿易取扱量で主導的な地位確保を狙っている。
その具体的な成果として、2013年、45年ぶりにミャンマー米の日本への輸出を実現させた。ミャンマーの農産物の輸出拠点としての有望性を端的に実感させる快挙だった。
同社が今回の提携を実現させた背景には、主に下記の3つの要因がある。
(1)グローバルな農作物需要の中でのミャンマーの重要性
(2)ミャンマーにおける農業制度の改革
(3)三井物産側のミャンマーでの地道な取り組み
それぞれの点について、説明したい。