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出口治明の提言:日本の優先順位

公的年金の運用でリスク資産への
投資比率引き上げは適切か?

出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]
【第108回】 2014年2月13日
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 2月11日(火)の日本経済新聞の社説は、「年金に過度のリスク運用を期待するな」と題して、公的年金の運用問題を論じたものだった。この背景には、政府の有識者会議が昨年11月にまとめた提言がある。

 この提言によると、主な対象は国民年金と厚生年金を合わせた約120兆円の積立金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)であり、その内容としては、まずGPIFの国内債券への資産配分比率を現状の60%から引き下げ、株式(12%)や外国債券(11%)、外国株式(12%)などの比率を引き上げるよう求めている。この問題は、どのように考えたらいいのだろうか。

GPIFの規模は
世界有数で米国に次ぐ

 まず、世界各国の主な年金積立金等の運用状況を眺めてみると、概ね次の通りである。

 意外なことに、資産運用の先進国である米国は、国債100%の運用を行っていること、韓国やフランスも債券比率はほぼわが国のGPIFと同じであることがよくわかる。一方、カナダやスウェーデン、ノルウェーでは株式運用比率が50~65%となっている。すなわち、世界の年金積立金等の運用は、米国に代表される債券中心型と、ノルウェーに代表される株式中心型にほぼ二分されていることが窺える。

 政府の有識者会議は、おそらくノルウェー型を念頭に置いているのであろう。ここで注目したいのは、GPIFの資産残高の巨大さである。主要国の年金積立金等の中で、100兆円を超えているのは米国の社会保障信託基金とわが国のGPIFだけである。その次のノルウェーの政府年金基金グローバルは、GPIFのほぼ半分強の規模でしかない。株式運用比率が世界で最も高いカナダの年金プラン投資理事会にいたっては、わずか17兆円の規模にしか過ぎないのだ。

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出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

1948年、三重県美杉村生まれ。上野高校、京都大学法学部を卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員会委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2008年に生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更、同社代表取締役社長に就任。2013年6月24日より現職。主な著書に『百年たっても後悔しない仕事のやり方』『生命保険はだれのものか』『直球勝負の会社』(以上、ダイヤモンド社)、『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『「思考軸」をつくれ』(英治出版)、『ライフネット生命社長の常識破りの思考法』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

ライフネット生命HP

 


出口治明の提言:日本の優先順位

東日本大地震による被害は未曾有のものであり、日本はいま戦後最大の試練を迎えている。被災した人の生活、原発事故への対応、電力不足への対応……。これら社会全体としてやるべき課題は山積だ。この状況下で、いま何を優先すべきか。ライフネット生命の会長兼CEOであり、卓越した国際的視野と歴史観をもつ出口治明氏が、いま日本が抱える問題の本質とその解決策を語る。

「出口治明の提言:日本の優先順位」

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